進退を懸けたシーズンに臨む中日岩瀬仁紀投手(42)が実戦形式の初登板で奪三振ショーを披露した。17日、沖縄・北谷キャンプでシート打撃に登板し打者4人に対して1安打3三振で無失点。19年目の開幕に向け、手応えをつかんだ。

 スライダーとカットボールの中間のような新球「名もなきボール」で大島、ツーシーム系の「ナンバリング29」で藤井、堂上から空振り三振を奪った。これまでの曲がりの大きい宝刀スライダーは今年から封印した。打者の近くで鋭く曲がる変化球で打者を翻弄(ほんろう)。「イメージ通りの軌道でいってくれた。空振りが取れたのが大きな収穫」と笑顔だ。明るい表情が順調さを物語っている。

 周囲も今年の仕上がりを高評価する。森監督は「もともと(球が)動いていたが、去年、一昨年とそういう球が少なくなっていた。今年は動きだしている」。友利投手コーチは「ここ2、3年の中では別人。ああいうのをカットボールだというものを投げている」と絶賛。シート打撃後にはブルペンで、視察中の白井文吾オーナーから「頑張れよ」と激励された。通算402セーブ左腕の復活を待っている。

 今後は実戦登板に進む予定。岩瀬は「ここまで順調。壊さないようにステップアップしていきたい」と力を込めた。自ら選択し、1軍キャンプで汗を流す。今年に懸ける思いは強い。あとは結果を出し、証明するだけだ。【宮崎えり子】