キャッチボールの延長線上ともいえる軽めの投球だけに一概に比較はできない。ただ藤浪がブルペンで100球以上を投げることは極めて異例といえる。ウエートトレでの筋力作りを重視しており阪神キャンプでの球数は多くても80球前後。「キャンプでは40、50球でいい感覚が出たんですけどね」。この日はカーブも交えながら、ほぼ直球を投げ続けた。ルーティンを変更してでもフォームのバランスを取り戻しにかかった。

 藤浪 ブルペン、マウンドで1球目から決まる状態で臨みたい。先発がいいとか中継ぎがいいとか、そういうのはない。与えられた仕事をまっとうしたい。

 「飛び入りブルペン」はWBCに懸ける熱意の表れに他ならない。権藤投手コーチも「始めから終わりまで、よく飽きずにやっているよ」と目を細める姿勢が尊い。その一挙手一投足に、WBCに懸ける熱意がほとばしる。【佐井陽介】

 ◆藤浪のキャンプでのブルペン投球 藤浪は今季の宜野座キャンプのブルペンで1日60球から80球を投じていた。初日の1日に70球。宜野座での最多は5日の83球だった。1日で多くの球数を重ねるタイプではなく、過去キャンプでの1日の最多投球数は、昨年2月22日の93球とされている。公式戦では、初回失点から首脳陣が続投を命じた昨年7月8日広島戦(甲子園)での161球(8回)が最多。

 ◆高校時代は… 大阪桐蔭の3年時、春夏連覇を達成した甲子園では9試合に先発して8試合に完投。最多球数は春決勝の八戸学院光星(光星学院)戦で148球だった。春5試合で40回を投げ659球、夏は4試合36回で516球。合計1175球を投げていた。