ソフトバンクの育成出身4年目石川が自己最速となる155キロをたたきだし、開幕1軍入りを強烈にアピールした。アイビースタジアムでの「球春みやざきベースボールゲームズ」楽天戦に7回から3番手で登板。2回を無失点。6人で完璧に抑えた。
初球、いきなり154キロを計測し、スタンドがどよめいた。大きく曲がるスライダーを見せながら、最後は直球勝負。7回は阿部を遊邪飛、銀次を左飛、松井稼を三邪飛と左打者3人を力で押し込み、引っ張らせなかった。2イニング目は育成北川の4球目に155キロを計測。最後は内角150キロで空振り三振で締めた。この時期でこれだけ速いのはチーム内でもサファテくらいだ。
「自分が思っているより打者を差し込めた」。今季4年目の石川が1軍相手に投げるのがこれが初めて。先発松本裕、2番手高橋のドラフト1位コンビのように高い期待をかけられての入団ではなかった。13年育成ドラフト1位で入団も肩、肘など故障続きで試合にすら投げられなかった。「創価大は投げ込みがないので、自分も入団した時に苦労した。練習量もボリュームがある」と話す。創価大の3学年下、ドラフト1位田中正義投手(22)が現在、悩んでいる姿を見て「そんなもんでしょ。力むな」と励ます。
工藤監督も「自分の直球が通用すると自信を持ってきている。球に力がある」と高評価する。ひっそりと力を蓄えてきた石川が大きな花を咲かせようとしている。【石橋隆雄】
<石川柊太(いしかわ・しゅうた)アラカルト>
◆生まれ 1991年(平3)12月27日、東京都。
◆経歴 総合工科、創価大を経て13年育成ドラフト1位でソフトバンクへ入団。3年目の16年7月に支配下選手登録。背番号は「138」から「29」に。
◆脱トルネード 大学時代は背中を打者へ向けるトルネード投法だった。肩、肘に負担がかかるため、断念。新しい投げ方で昨年、初めて2軍公式戦に登板。今キャンプでは、下半身だけひねりを取り入れるプチトルネードに戻し、球威が増した。
◆モノノフ アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の大ファン。オフにはライブに行き、部屋にハッピを飾るほど。毎朝、メンバーがブログを更新していないかをチェックするのが楽しみ。自身のツイッターでも、野球のことよりもももクロ関連のつぶやきが多い。
◆サイズ 185センチ、86キロ。右投げ右打ち。