仙台育英系列の秀光中教校(宮城)軟式野球部が、25日に開幕する全日本少年春季軟式野球大会(静岡・草薙総合運動場硬式野球場ほか)で初優勝を狙う。高校野球における春のセンバツに位置付けられる同大会に3年連続4度目の出場。2010年から続く8年連続全国大会出場は新記録だ。中学軟式では驚異的ともいえる最速130キロ超え投手3人を含む最強カルテットで、3日で5試合の過密日程を乗り越える。25日の1回戦で石垣二中(沖縄)と激突する。

 秀光中最強カルテットが仁王立ちする。最速136キロのエース右腕・宮本拓実主将(3年)を始め、安定感抜群の投手を4枚そろえた須江航監督(33)は「今年は左右のバランスが良くて、球速が速いのが魅力。過去最強と言ってもいい」と断言する。昨秋の公式戦は計117回で2失点(自責0)の圧倒的な内容で勝ち上がった。

 球速だけではない。4人に共通するのが、リズムの良い投球テンポだ。秀光中は守備の時間を短く、攻撃の時間を長くすることにこだわっており、それを「ポゼッション」と呼んでいる。須江監督は「投球の時間を短くして、試合を支配するのが最大のテーマ。球速が速いので、直球でどんどん押していけるのが強み」と分析する。

 守備の時間を短くするには、まず制球力がなければ始まらない。宮本が「1イニングを約10球で終わらせるように考えている」と言うように、4人ともストライク先行で投球を組み立てられる制球力を持っている。3者凡退に抑えると、1イニングを約2分で終わらせることができ、目まぐるしい攻守交代に持ち込んで試合の主導権を握ることができる。宮本は「逆にやられると嫌ですね」と「ポゼッション」の効果を力説する。

 3日で5試合の過密日程を4人で乗り切る。1投手は1日7イニング以内と決められている。須江監督は「2人じゃ足りない。4人いてくれるのは大きい。アドバンテージはあると思う」と胸を張る。続けて「4人とも先発も抑えもできるし、場数は踏んでいる。いろんなパターンで使える」と自信を見せた。

 09年夏からグラウンドに掲げた「日本一からの招待」は、もはや秀光中の代名詞として定着した。兄貴分・仙台育英の主将を務める西巻賢二を擁して14年に達成した全国中学軟式野球大会優勝に続く、2度目の日本一を狙う。

 須江監督 日本一は奪い取るものじゃなくて、招かれるものだと思っている。選ぶのは僕たちじゃない。招かれるには何かの要因が必要。何かしら理由がないといけない。精神的なものだけじゃなくて、ハッキリとした技術的なものだとするなら、守備力と投手力は高い。そこまでの打力はないが、走力と得点を重ねるすべはある。招かれる条件は持っている。

 機は熟した。宮本は自分の右腕に力を込めた。「日本一の環境で日本一の先生(監督)に教わっている自負がある。優勝する自信があります」。あとは4人の力を存分に発揮するだけだ。【高橋洋平】