スイッチヒッターに挑戦する阪神大和が開幕1軍に向けて強烈なアピールだ。7回2死走者なしで迎えた今年の1軍初打席。中田の初球だった。低めに沈むカーブをとらえると、痛烈なゴロで中田の足元を襲う。瞬く間に中前へ抜けていくクリーンヒットだった。

 2月は安芸2軍キャンプスタートだった。前日21日に1軍合流したばかり。それでも「しっかりとらえられたと思う。しっかり、自分のスイングをするだけ」と冷静だった。プロ12年目の一念発起だ。課題の打撃は昨季も打率2割3分1厘にとどまり、球界屈指の守備ばかりが目立っていた。

 昨年10月、片岡打撃コーチの発案で左打ちに取り組む、スイッチヒッターにチャレンジし始めた。中学時代に1カ月、打ったことがあるくらいで、まさに未知の領域。1月の自主トレでも集中してバットを振り込み、左での安打は2月中旬の練習試合が初めて。掛布2軍監督と特打に取り組み、体重移動や軸の左足に粘りを利かせる動きを徹底的に体に染み込ませてきた。

 金本監督も「ビックリした。打つと思わんかった。打つ方が去年は上がり目があるかと思ったが2割2、3分で終わったし、彼次第でしょ」と言う。外野では14年にゴールデングラブ賞に輝いたが今年は再び本職の内野手で登録された。この日は二塁守備へ。まだ開幕レギュラーが定まっていないポジションだけに虎視眈々(たんたん)とうかがう。背番号0が幸先よく仕切り直した。【酒井俊作】