右膝関節炎のためスロー調整を続けてきた阪神糸井嘉男外野手(35)が、いよいよ全開モード突入だ。ソフトバンク戦に3番センターで先発出場。4回1死三塁の守備では、右中間の打球へ迷いなくダイビングキャッチを試みた。惜しくも捕球できなかったが、鳥人…いや超人が総仕上げの段階。ライト福留とのタッグも初披露された。

 糸井が跳んだ。0-2の4回1死三塁の守備。8番鶴岡が放った右中間へのライナーに猛然と突っ込んだ。本能むき出し。頭からのダイブ。結果は数センチ届かず。ボールは右中間フェンスまで転がって適時三塁打となった。ただ、その結果も忘れさせるほどインパクト抜群の横っ跳び。右膝の不安など一切、感じさせなかった。

 シーズン本番の布陣がついにお披露目された。チームはこの試合から指名打者を解除。9番に投手が入り、センター糸井、ライト福留による2017年版虎の右中間が初披露された。ゴールデングラブ賞7度の糸井と同5度の福留。名手タッグ結成初戦に飛び出したハッスルプレーだ。試合後の糸井は動きは問題ないか? と問われて「うん、うん」と何度もうなずいた。

 3番糸井、4番福留と並んだ打線でもつながりがあった。糸井がダイブする直前の攻撃。2点を追いかける4回1死走者なしの場面だ。糸井が右前打で出塁すると、続く福留が左前を放ってチャンスを拡大した。結局、得点にはつながらなかったが、今季の攻撃パターンをイメージさせる中軸の連打だった。

 もう懸案事項はないに等しい。この試合は7回裏に交代するまで打席に3度立った。プラン通り守備の時間帯も徐々に伸ばしている。金本監督は「こわごわ、行っとったけど。慣れていくでしょう」と問題なしを強調。中村外野守備走塁コーチは「見ての通り元気です。あそこで飛び込むという判断も良かった」と笑った。開幕まで、あと4試合。期待のFA戦士が万全の状態で開幕を迎える。【桝井聡】