「サヨナラグランドスラム男」が、今度は「逆転満塁トリプル」だ。日本ハム西川遥輝外野手(24)が、ヤクルトとのオープン戦(札幌ドーム)で、1点を追う8回1死満塁の好機に走者一掃の逆転適時三塁打を放った。昨秋の日本シリーズ第5戦では、史上2人目のサヨナラ満塁弾。今季も終盤の大事な場面での勝負強さを発揮した。

 塁が埋まった。1点を追う8回1死満塁。バットを頭の上にかかげ、ポンポンとはずみながら西川が打席に向かう。札幌ドームに、興奮がよみがえる。「あんなことは僕の野球人生で、もうないと思う。どんな形でも、走者を帰すことが大事」。大振りはしない。2球で追い込まれながら、低めのフォークを右翼線にはじき返した。走者一掃の逆転三塁打。快足を飛ばした、持ち味十分の一打だ。

 昨年10月27日。同じ札幌ドームのお立ち台で喝采を浴びていた。日本シリーズ第5戦、広島中崎から放った史上2人目のサヨナラ満塁弾。「あれは最高の結果」。だが「最高の結果」を追い求めることはしない。「犠飛でも1点。気楽にいった」。空振りした2球目と同じ低めのフォークを、コンパクトに振り抜いた。

 キャンプ終盤に胃腸炎を患い、リズムが狂った。強く、鋭い打球が飛ばない。「上と下のバランスが合っていないのか…」。打撃練習で理想のスイングを探す日々。「うまくピースがはまっていない。そのピースを探しながらという感じ」。オープン戦はチーム最多の75打席。今季初アーチを放った今月19日広島戦あたりから、ようやく感覚が戻ってきた。「ここ10日くらい状態がいい。上がってきています」。この日も2回に左前適時打を放つなど3安打4打点。「継続してやっていきたいです」と前を向いた。

 開幕前は今日26日のヤクルト戦(札幌ドーム)が最後の実戦。「あと1試合、ケガをしないように。開幕に向けていい準備ができれば」。打撃は苦しんだ時期もあったが、出塁率は12球団5位の3割7分3厘。栗山監督も「チームを引っ張っていってほしい」。走攻守、そして勝負強さ。今年も満塁機の西川には、要注意だ。【本間翼】

 ▼日本ハム西川の出塁率は、1年目の12年が3割1分1厘(71試合)、2年目13年が3割5分8厘(85試合)。主力に定着してからは14年3割4分3厘(143試合)、15年3割6分8厘(125試合)で、昨年はリーグ4位の4割5厘(138試合)を記録し、打率もリーグ2位の3割1分4厘だった。