巨人阿部が“幻の1安打”をプラスに捉えた。2回無死、阪神青柳の外角スライダーを左中間へはじき返す二塁打とした。試合は3回途中で降雨とグラウンドコンディション不良のため、41分間の中断後にノーゲームとなった。だが「うまく打てた。ノーゲームになってしまったのは残念だけど、明日につなげたい」と前向きに話した。

 好調気配からの下降を懸念していた。試合前の時点で打率3割6分、4本塁打、12打点と開幕から打線を引っ張っている。ただ、直近の感覚は「調子は良くない。もっと丁寧にいかないと」と危機感を持つ。前日7日は無安打で今季ワーストの3三振を喫した。第3打席には顔面付近を厳しく攻められ倒れ込んだ。対戦相手の警戒レベルが上がる中で、わずかなスキも許されないと自認した。

 この日は過去対戦で10打数5安打と好相性の青柳からクリーンヒット。チームは4戦で打率1割3分1厘と大苦戦する相手に格の違いを見せつけた。1つ進みかけた2000安打までの阿部メーターはノーゲームに阻まれ74のまま。ヘッドホンでアップテンポの音楽を聴きながら球場を引き揚げる阿部にマイナスな思考はなかった。【為田聡史】