まるで敗れた指揮官のようだった。終盤に点差を詰められながら、辛くも勝った。貯金を「1」としたが、阪神金本監督の表情は険しかった。「バッテリーが追い込んでから、勝負を焦っているのかどうか。若いんだから、しようがないかも分からんけど、2ストライク後に何本打たれた? そこらへんを考えないと。そこがチームとして、一番の反省点じゃないかな」。バッテリーに怒りの矛先を向けた。

 打たれた13安打中、7本が2ストライクに追い込んだ後だった。猛省を求めたのは、2回だ。2死三塁で戸柱に三遊間を破られ、タイムリーを打たれた。次打者は投手の今永だ。無理に勝負をしなくても、いい場面だ。「本来は歩かせるところだけど、回も浅いし、戸柱も調子が悪いので勝負させたが、あそこは考えないと。キャッチャーもボール要求だろうけど、そこにバッテリーもちゃんと意思疎通でボール球を投げこむ意識。2ストライク後の打たれ方が悪すぎるわ」。バッテリー間で思いが一致してないことに苦言を呈した。

 4回に6得点猛攻に、原口の2号ソロがあれば、楽に勝てた展開。糸井や鳥谷らベテラン選手を終盤に休ませられただけに、不本意な接戦だ。サヨナラ負けの可能性すら生じ、指揮官の中にモヤモヤが残った。【田口真一郎】