決勝打の直前、初球の内角高めボール球を見逃すと、バットを拳1つ分短く持っていた。プライドを捨て、苦心の末のタイムリーだ。外野へと打球が飛んだのは、7日巨人戦での中前打以来、実に15打席ぶり。値千金の一打に金本監督も「最後に何とか。ボール球だろうが、力負けしなかった。押し込んでね。これも技術のひとつだと思う。あの場面で打てるのは、バッターの価値だし。そういうところでよく打ってくれた」と褒めたたえた。

 先輩の勇姿に高山も刺激を受けている。今年から明大時代の先輩糸原がチームに加入。1つ上の先輩のガッツに尊敬のまなざしを向けている。「糸原さんはプレーに気持ちが前面に出るというか。僕にとって見習うところは多いですね」。クールな印象の強い高山だが、内面では闘志をたぎらせている。

 珍客も快打を後押ししたのか。直前の9回無死一塁の場面。梅野の打席の時に、一塁側にネコが迷い込み、試合は一時中断した。ネコは猛ダッシュ。一塁側ベンチ横のカメラマン席方向に逃げると、客席から思わず笑いも起きた。幸運のネコだったのか。高山が大きな白星を招き入れた。【梶本長之】

<阪神戦に乱入した主な動物>

 ◆ネコ(03年8月27日巨人戦=甲子園)5回裏阪神の攻撃中、アリアスの打席でネコがバックネット前を全力疾走。三塁側ベンチ屋根などもダッシュした。テレビ解説の川藤幸三氏は「虎が走るのは分かるけど、ネコが走るのはいかんでしょう」と名言を残した。

 ◆イタチ(13年8月31日広島戦=甲子園)5回表広島の攻撃が始まる直前、突然現れたイタチがグラウンドを駆け回った。先発藤浪は慌てず騒がず、6回1失点の好投。高卒ルーキー10勝の快挙を達成した。

 ◆魚(16年5月8日ヤクルト戦=甲子園)阪神の6回裏攻撃中、ヤクルト左翼手バレンティンから数メートルの地点に不審な物体が落下。約25センチの魚の死骸で、鳥が胃の中から落としたものと推測された。強烈な悪臭が漂い、係員が五重にした袋に入れ片付けた。