オリックス金子千尋投手(33)が、驚異的な92球完封で2勝目を挙げ、チームの連敗を2で止めた。ソフトバンクに的をしぼらせず、5回終了時まで完全投球。2安打を許したものの、1年ぶり完封を無四球で飾った。通算21度目の完封は現役選手では巨人杉内と並んで最多タイ。ここ2年は7勝と低迷した14年沢村賞右腕が再び輝いた。

 省エネ完封を達成した金子は、マウンドに駆け寄ってきた女房役の伊藤と抱き合った。自己最少完封だった14年9月楽天戦の101球を更新。「27球完投」を理想とする右腕が、イメージ通りの投球を体現した。

 「すごくうれしい。1度は100球を切って完投したかった。去年からボール先行で球数が多くなった。今日は全部ストライクのつもりで投げた。(伊藤)光もいいリードをしてくれた。点を取ってくれてリラックスして投げられた」

 4点を先制した直後の1回は8球。打ち気にはやる相手の逆手を取り、5回までスイスイと48球で終えた。少し間が空いた6回先頭の松田に内野安打を許したが、9回までペースは落ちない。三塁を踏ませない完璧な内容だった。

 福良監督が2年連続開幕投手に指名した理由は「意気込みを買って」だった。FA宣言残留後ここ2年は7勝と不本意。復活にかける強い思いを、指揮官にぶつけた。昨年の球団納会。冷静な右腕が福良監督に「優勝旅行に行きましょう!」と熱く呼びかけた。監督も「びっくりした。あんなことを言うなんて」と驚いたほどだ。