8回攻防のヒーローは、阪神高山だった。3-2と広島打線に1点差に迫られた8回1死一、三塁で、高山が広島ヘーゲンズの初球を右前に運び、4点目を加えた。初球を仕留めた打席は今季5打数5安打。金本監督を「点がほしいところで勝負強さを見せてくれる。頼もしい」と喜ばせた。

 8回裏の適時打を千金打にしたのも高山自身。3-1で迎えた8回表の守り。2死二塁で田中に三塁線を破られた。二塁走者の安部がホームにかえり、打者走者の田中も二塁を狙った。俊足の田中を、打球を処理した高山が好送球で二塁でアウトに。「今日はほめてやってください」。中村外野守備走塁コーチも顔を崩した好守だった。

 手負いの状態だった。前日13日DeNA戦(横浜)の5回、自打球を左足のつま先に当てた。激痛を抱えながら、9回に守護神・山崎康から決勝打。一夜明けたこの日、体調を気遣う首脳陣に「痛いです」と打ち明けた。病院に行き、試合前の走塁練習は取りやめた。片岡打撃コーチからは「ジャコ(ちりめんじゃこ)食うとけ」と骨強化への助言ももらった。明らかに異常事態だったが、高山は「大丈夫です」と言い切り、試合に臨んだ。

 4回は今季初の長打(右中間二塁打)を放ち8回は攻守で貢献。「問題なくやれました」とアクシデントをはねのけた。昨年の新人王が2試合連続で存在感を見せチームの4連勝を支えた。【堀まどか】