DeNAが執念の継投で今季初のカード勝ち越しを決めた。アレックス・ラミレス監督(42)は、クローザーを務めていた山崎康とセットアッパーのパットンを配置転換。山崎康のリフレッシュではなく、優勝へ向け1勝にこだわる強い決意を示した。

 横浜スタジアムが異様な雰囲気に包まれた。山崎康の登場曲、ゾンビネーションの「ケルンクラフト400」が、今季初めて7回に流れたからだ。山崎康は9球目まで直球でグイグイと押し、2三振を奪うなど最速149キロで3者凡退。最近2試合連続で失点していた姿とは見違える投球だった。パットンも危なげなく9回を抑えて来日初セーブ。新しい「勝利の方程式」が完成した。

 ラミレス監督は「2日前に決断した。ヤスは沖縄からのオープン戦で抑えを勝ち取ったが(開幕後に)つまずいた。去年とは同じにしたくない。今年はチームが最優先。勝ちにいく」と配置転換の理由を語った。勝敗に直結するクローザーのまま山崎康の復調を待たず、登板8試合でいまだ無失点の好調パットンを置き、目の前の1勝を大事にする。昨年達成したCS進出に満足せず、今季は本気で優勝を狙う姿勢の表れだ。

 山崎康は、前向きな姿勢で受け入れた。「今の僕の状態でベストな形。チームが勝てる一番の方法。そこ(7回)で投げることで吸収できるものもある。ポジティブに考えている。戦力として勝ちパターンの継投で期待されている」。監督から直接、配置転換を言い渡されたが、その場で何のしこりもなく承諾した。パットンは「言われた時はやるしかないと思ったが、想像はしていなかった。もちろん、厳しい場面でやりたくない野球選手はいない」と腕をぶした。

 次戦は今季初、昨年のCS以来となる首位広島戦。新たな勝ちパターンを携え、ぶつかっていく。【斎藤直樹】