やるやん、キャンベル! 阪神が28日、新外国人エリック・キャンベル内野手(30)の来日初V打を放つ活躍で、中日3連戦の初戦をモノにした。5番一塁で2試合連続のスタメン出場。0-0で迎えた4回1死一、二塁で、これも2試合連続となる適時打を右翼線に放った。チームは4月の月間勝ち越しを決め、首位広島が敗れたため1差に接近。今日も中日に勝って、広島がDeNAに負けると、開幕2戦目以降では今季初となる首位に立つ。

 連日の名刺代わりのタイムリーだった。4回1死一、二塁。1ボール2ストライクと追い込まれながらも、中日大野の142キロ高め速球をコンパクトに振り抜いた。鋭い打球は右翼線寄りで弾み、フェンス手前まで到達。二塁走者を生還させた。

 「2ストライクを取られていたけど、意識したのはボールを手元まで呼び込んで、逆方向に打つことだね。なんとか粘って失投を逃さずに、あのときは真っすぐだったけど、甘く入ったのでうまく打つことができたよ」。好球必打で貴重な先制打を生み出した。

 研究熱心さが生きた一打でもあった。1打席目はチェンジアップにタイミングが合わず、バットを折られた。「試合前にスコアラーから情報はしっかりもらっていた。あとは打席の中で球を見て慣れていくだけだよ」。2打席目は情報と感覚を再整理。中日大野の失投を逃さなかった。

 助っ人は言葉の壁に苦労した。左手首の故障で2軍にリハビリを続けているときだ。球団トレーナーから患部にテープを巻いてもらおうとしても、母国語の英語が通じない。それでもお互いの簡単な言語や、オーバー気味なボディーランゲージで強度や方向を納得のいくテーピングにしてもらった。キャンベルは決まって、覚え立ての「アリガトウ」でお礼を言って引き揚げる。そんな壁とも戦いながら、1軍復帰を目指し続けた。

 C砲の連日の活躍で4月の月間勝ち越しが決まり、首位も見えてきた。今日1位広島が敗れて、阪神が勝てば勝率で上回る。今季初の単独首位だ。

 金本監督もしぶとい打撃に目を細めた。「キャンプの時から、しっかりバットさえ振れればしぶといバッティングをしてくれていた。今の所は期待通り」。異国の地で見つかりつつある自分の居場所。確固たるものにするためにも、バットでさらなる活躍を見せる。【山川智之】