ど派手な1発でエースを援護した。ロッテ戦に「6番・DH」で出場した楽天ジャフェット・アマダー内野手(30)が、初回2死満塁の好機で、今季3号の本塁打を放った。4月22日のソフトバンク戦以来のアーチで先制し、チームに勢いをもたらした。味方の援護にエース則本昂大投手(26)も、球団史上初の4試合連続2桁奪三振で今季初完封の投球で応えた。チームの貯金は再び13。首位の強さを堅持した。

 135キロの巨体を揺らしながら、アマダーは悠々とダイヤモンドを1周した。初回2死満塁。カウント2-0から、スタンリッジの内角低めの速球を強振し、左翼スタンドに運んだ。「つなぐ意識で打席に立った。結果が出ていなかったので、チームに貢献できてよかった」。献身的な意識が、エース則本を援護する強力な1発となった。

 試合前から好感触をつかんでいた。全体練習前の室内練習場。「遠くに飛ばそうと意識しすぎて力んでいるから、軸足に体重が乗り切らず前のめりにバットを振っている」と課題を指摘する池山コーチの前で、黙々とバットを振った。軸足にしっかりと体重を残したまま、スイングの始動を早くするタイミングの取り方を体に染み込ませた。「今までタイミングの取り方に苦労していた。池山さんのアドバイスで自信を持つことができた」とアマダーは言う。練習でのフリー打撃で快打を連発し、試合でもアーチを描いてみせた。

 背水の覚悟も、本来の打撃を目覚めさせた。5日の西武戦で、菊池から4打席連続三振と4番として役割を果たせず、翌日から2試合連続でスタメンから外れた。9日のロッテ戦では打順が6番に降格。このカードで結果を残せなければ、2軍降格の危機でもあった。復活を告げたアマダーは「結果が出ていない自分を使ってくれた監督と、日々指導してくれるコーチのみなさんに感謝したい」と安堵(あんど)した。

 アマダーの1発でチームが活気づき、エース則本が12奪三振の力投で今季初完封。梨田監督は「則本は僕がこの球団に来てから一番の投球をしてくれた。打線もうれしいはまり方をしてくれた。明日も援護してほしい」とチームの快勝に頬がゆるんだ。2位ソフトバンクとのゲーム差は2・5。しっぽは、まだ握らせない。【田口元義】