また1歩、エースへの階段を上った。西武菊池雄星投手(25)が首位楽天を8回1失点に抑え5勝目。チームを今季2度目の5連勝に導き2位ソフトバンクに0・5ゲーム差に迫った。

 思わず声が出た。打線が5点を奪った直後の8回2死。ペゲーロを空振り三振に仕留めると、雄たけびを上げた。この日最速の153キロの後、152キロを続けて2球で追い込み、最後はスライダー。「逆転してもらった直後。3人で抑え込んでこそ流れがくる。あそこでゴタゴタすると信頼は得られない。気持ちも勝手に入った」とうなずいた。

 いつも以上に勝利を意識して、勝った。チームが6連勝中で迎えた前回19日ソフトバンク戦。8回2失点ながら、バンデンハークとの投げ合いに敗れ「こういう1点勝負でこそ勝ちたかった」と唇をかみしめた。今回も連勝中でのマウンド。「自分で止めるわけにはいかない。(楽天の)森君も抜群で絶対1点勝負になる」と気合を入れ直した。

 たとえ本調子でなくとも、勝利を呼び込むのがエース。4回2死一、三塁から「迷いながら投げてしまった」スライダーを松井稼に左前に運ばれ、先制点を献上。それでも「いかに2点目を与えないか」と悔しさを闘志に切り替えた。5回以降は1安打も許さず、8回の逆転劇を引き寄せた。

 辻監督も「負けられない気持ちが出ていた」とたたえた109球。自身5勝目にも菊池は「勝つことが仕事。もっと勝ち星を増やしていかないといけない」と口元を引き締めた。勝たなければいけない試合で勝つ-。今年の左腕は、メンタルが力強い。【佐竹実】