阪神青柳が今季初勝利でローテ崩壊の危機を救った。1回1死一、二塁の場面で迎えたのはDeNA筒香。動揺はなかった。カウント3-2から、外角低めの速球で空振り三振に仕留めて2アウト。その後2死満塁とされたが、戸柱にも空を切らせて0でしのいだ。「(初回は)緊張しました。なんとかゼロに抑えることができて良かったです」。

 ピンチは続いた。6回にマウンドを降りるまで毎回、走者を背負った。それでも真っすぐを軸に踏ん張った。3四死球も出し、8安打を浴びたが、6回2失点(自責点0)。悪いなりにゲームを作った。

 この日、先発ローテーションの中心を担っていた藤浪が出場選手登録を抹消された。昨季10勝の岩貞も再調整中で、緊急事態に陥っていた。藤浪に代わって再昇格した背番号50が、ローテ崩壊の大ピンチを食い止めた形だ。

 “トイプードル”という、かわいらしい愛称を同僚の今成からつけられた青柳。ただ当の本人は犬種のあだ名より、実家で飼う猫の方が気になっている。中3の時に飼い始めたが、仕事柄なかなか会えない。「癒やしですよ。実家に帰ったときの楽しみのひとつです」とにっこり。今日もリビングで「主人」の好投を見ていたに違いない。

 「期待してもらえるのはうれしいですが、自分ができることをやるだけと思っています。1人1人、抑えていきたい」。4月末に登録を抹消され、約1カ月間、鳴尾浜で必死に準備してきた。今度こそ1軍定着-。先発陣の一角として一生懸命に腕を振り続ける。【山川智之】