試合終了と同時に、ウイニングボールの「遠慮合戦」が始まった。初陣を勝利で飾った楽天平石洋介監督代行(38)が、1度は今季初白星の美馬からボールを受け取った。だが「気持ちだけで十分。お前に受け取ってほしい」と返品。最終的には美馬の妻、女優のサントス・アンナに渡った。チームは本拠地で今季8勝目で、8点差は最大タイ。久々に幸せな空気が充満した。

 平石イーグルスは、PL学園の後輩・今江の美技で幕を開けた。2回2死二塁、三塁線の打球に横っ跳び。二塁走者にタッチした。今江の三塁守備は4月14日以来今季2度目で、三塁で先発は昨年以来。「元々長く三塁を守っていた。あれが抜けているのとはえらい違い。あれで助けられた」。打席では今江が2回にチーム初安打。続く銀次が「あれで流れが来たし、チームが乗った」と2号2ランで先制した。

 試合前は選手を集め、前向きな姿勢を求めた。突然の代行就任に「正直、気持ちの整理がついていない」と告白したが「思う通り、動くところは動く。熱く、アグレッシブにやっていきたい」と自在流を決心。試合中はストップウオッチを持ち、自らサインを出した。2回は無死一塁で「落ち着きを与えたかった。銀次は調子がよく、懸けた」と犠打をさせずに先制弾を呼び、5回は無死一塁で茂木にセーフティーバントを指示。好機を広げて4点を奪った。

 今季最多タイの3発で大勝発進した。12球団最年少のイケメン指揮官は「素直にうれしいです」と照れた。【斎藤直樹】