「連覇顔」で剛腕完全復活や!! 阪神は28日、11月1日から始まる高知・安芸秋季キャンプのメンバーを発表し、6年目を終えた藤浪晋太郎投手(24)の参加も決まった。今季は序盤こそ苦戦したが、終盤に立て直して5勝を挙げた。矢野燿大監督(49)は「底は抜けている」と復調に太鼓判を押し、大阪桐蔭で甲子園春夏連覇した12年当時を「いい顔。プロでもできればスゴイ」と話した。キャンプは自主性を促し、自信満々で来季に向かう。

マウンドには藤浪の生気あふれた顔が似合う。本拠地での秋季練習。矢野監督が藤浪への思いを明かす。「晋太郎の一番、底、苦しいところは抜けていると思う。本人とも話をして前に向いている感じ。投球も気持ちも、もう前を向いている。期待はもちろんしてるけど、心配は全然、していない」。6年目の今季も、序盤から制球難に苦しんだが、終盤に立て直した。

1軍では13試合に先発して5勝3敗、防御率5・32だった。特に9月に3連勝し、完封勝ちもマーク。春先以降、2軍生活が続き、新指揮官も2軍監督として対話してきた実感がある。「晋太郎、ある意味、楽しんでやれよ。四球も出すけど、1個出したらアカンと思うんじゃなく、1個出したら、次の打者を抑えればいい。大げさに言うと何個、四球を出してもゼロで行ければいい」。心の重荷を軽くする助言だ。ストライクゾーンの四隅に一喜一憂するな。自慢の球威で押せ。矢野流のエールだろう。

6年前だ。野球評論家だった矢野監督には大阪桐蔭藤浪がまぶしく映った。12年に甲子園春夏連覇。「あのときの顔ってやっぱりいい。全国優勝して、結果もいいから、ああいう顔になると思うけど。それがプロでもできるようになればすごいこと」。堂々たるエースは精神的支柱になる。

心のありようが結果を左右する。矢野監督は「結果も出さないとアカンし、重圧もある。戦うなかで楽しむのはある意味、すごくレベルの高いこと。俺が思ったのは(不調時)晋太郎自身は『四球を出したらアカン、点を取られたらアカン』とか、すごくあって。『やったらアカン、どうしよう』となっていくと、あまりいい方向には行かない」と説明した。

もちろん、来季は先発の柱として期待する。9月末に右肩の張りが出たため、秋季練習も軽めのスローイングにとどめる。この日はキャッチボールも行い、秋キャンプに備えた。藤浪も「必死に頑張ります。行くと思っていましたし」と先を見据える。高校時代のような「連覇顔」になれば、矢野阪神に光も差し込む。【酒井俊作】