オリックス金子千尋投手(35)が21日、大阪市内の球団施設で取材に応じ、自由契約の可能性を初めて認めた。今季の年俸6億円から、野球協約の定める減額制限を大幅に超す5億円減の年俸1億円の提示を受けた。20日には球団側と3度目の話し合いを持ったが、結論には至らず、退団の可能性も浮上。そこにはエースの葛藤があった。(金額は推定)

<金子一問一答>

(自ら切り出し)

金子 今日の新聞で「交渉」と出ていましたが、交渉しているつもりは全くないです。年俸、インセンティブ、年数そういうことに関して、一切僕から話をしていない。そこでもめているみたいな話にされているのは、嫌です。

-条件面でなければ、重要視しているのは

金子 残り少ない現役を一番いい形でできるというところかな。投げられないことには、このチームに貢献することもできない。ましてや優勝したいという言葉も出せない。

-条件提示の話は

金子 提示されたものは変わっていない。そこについて、見直してくれという話は一切していない。

-20日の話で問題の解消は

金子 解消されていないことはないが、昨日はオリックスがどういう風に新しい段階に進んでいくのかを聞きたかった。そういうところを話し合った。

-今後の話し合いは

金子 します。自由契約の可能性はあると言ったが、オリックスに残らないかと言われたら、そうじゃない。

-今季はFA権も再取得したが

金子 FAを取れることはシーズンが終わってからも知らなかった。言われて、ああそうなんだと。FAするつもりなかったですし。

◆再契約メモ 自由契約になった選手が再びその球団と契約した例は、最近では05年吉井理人投手(オリックス)小倉恒投手(楽天)06年坪井智哉外野手(日本ハム)10年多田野数人投手(同)らがいる。吉井は04年12月に自由契約となり、仰木新監督に声をかけられテスト生として05年2月のキャンプに参加し合格。坪井や多田野はトライアウト後に興味を示す球団がなく、再契約に至った。