<マイナビオールスター2019:全セ3-6全パ>◇第1戦◇12日◇東京ドーム

苦節10年、初めてオールスターの舞台を踏んだ苦労人がいる。昨年は直前で死球骨折し、出場を辞退したロッテ荻野貴司外野手(33)。12球団トップの打率3割3分で文句なしの選出を果たし、2安打1打点と躍動した。走攻守の総合力と穏やかな人柄は球界屈指。飾らぬ言葉のはしばしに職人の思いが詰まっている。

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まず、お世話になった人みんなに感謝の気持ちを伝えたい。10年間すごく多くの人にサポートしていただいた。お礼を言わせてください。ありがとうございます。最初は緊張もありながらでしたが、途中からは楽しめました。

去年は直前に右手の人さし指に死球を受け、オールスターを辞退しました。これまでを振り返っても、やっぱりケガが多くて。大きいのは膝を3回手術して、左肩を手術して、両足のハムストリングを肉離れして、脇腹を肉離れして、去年は人さし指を骨折。「1年間やり通したい」と思っていたので、悔しくて。

すると嫁が、ある動画を見せてくれました。去年の京セラドームでのオールスター後、僕の応援歌をファンの皆さんが歌ってくれていたのです。いろんな球団のファンの方がいる中で、あんなことを…「来年こそ」という気持ちになれました。去年選んでもらった時よりも、さらにうれしさがありました。

今季は、チームが若手に切り替わっていこうとしてる中だったので「出番は少ないかな」と正直、思っていました。開幕前は調子が上がらず、不安も焦りもあったんです。2軍の試合に出させてもらって、そこでもう1度、しっかり自分を見つめ直せた。短いバットなどいろいろ試して、最終的に今の形にたどり着いています。バットが悪かったのか、自分の調子が悪かったのか。正直、分からないんですけど。短いバットはロッカーにあります。

テレビで見ていた憧れの舞台。同じ関西学院大の同期の宮西と、後輩の近本が選ばれました。近本も試合に出て盗塁も決めて、宮西もしっかり投げて、元気な姿を見られました。大学時代は内野手だったので、宮西の投球を外野から見るのは初めてで、改めて「頼もしいな」と。

何よりこのオールスターは僕以上に、この10年間不安な思いもある中で、落ち込むことなく支えてくれてた家族はじめ、周りの人が楽しみにしてくれていた。明日も出られるかは分からないですが、出られたらいいプレーをできるように頑張りたいです。(千葉ロッテマリーンズ外野手)