今季未勝利に終わった阪神藤浪晋太郎投手(25)が17日、秋季安芸キャンプの紅白戦で19年ラストマウンドに上がったが、完全復活はお預けとなった。

2番手で2回を投げ、3安打2四球1暴投で3失点。課題の制球難が見え隠れした一方で、右打者への抜け球がないなど山本昌臨時コーチ(54)に学ぶ新投法に手応えもつかんだ。宿題を持ってオフシーズンに入り、来春の完全復活を目指す。

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藤浪はありのままの言葉で、自分の投球を振り返った。「2イニング目、ちょっといい感じにはなったんですけど、最初マウンドに上った時点から、いい感覚で投げたかったなというのはありますし。なかなかこう、簡単には、思った通りにはいかないなと思いました」

紅組2番手でキャンプ初の紅白戦に3回から登板。先頭藤谷への初球、152キロ直球は外角へ外れた。2球目の151キロ直球を左前に運ばれると、続く熊谷にストレートの四球。木浪へは2球続けて直球を引っかけ、内角低めに抜ける暴投になった。立ち上がりに課題の制球難が顔を出した。

一方で、本来の藤浪らしい球も見えた。陽川へ初球に投じたこの日最速の153キロ直球は力強くミットに収まり、バットを出させなかった。「ブルペンでできているところをしっかり出せている部分もある。その確率を高めていかないと、と改めて思いました」。2イニング目の4回は直球でファウルや見逃しも奪い、引っかけた球も減っていった。8人中5人の右打者と対戦したが、課題の抜け球はなかった。

今キャンプでは山本臨時コーチから継続的に指導を受けてきた。この日の実戦登板に向けてもアドバイスをもらい、その教えを胸にマウンドに上がった。「なかなかこう、実戦でできたりできなかったり。制御出来る球と制御できない球がはっきりしていますし、そのへんはこれからまだまだ練習しないといけないなと思いました」。新たな取り組みを始めてまだ1カ月足らず。今は完全復活への道半ばだ。

矢野監督も試行錯誤する藤浪の姿を理解する。「抜けるボールは無かったけど、引っかけるのはあった。一気に階段を上れればいいんだけど、そういう風にはなかなかね。しっかり地力を付けられるように頑張って、オフを過ごしていってもらえたらと思います」。

しっかり決まった球には藤浪自身も「いい感じでボールがつかまってる感覚」とリリース時に好感触を覚えた。今後はそのボールの「確率」を上げるため鍛錬を重ねる。冬への宿題を持って、秋のキャンプを締めくくる。【磯綾乃】

▼阪神金村投手コーチ(藤浪について)「陽川への2球なんかすごい良かった。しっかり自分のフォームで投げられていた球もあったし、前進かなと思います。(取り組みが)出来ている球と出来ていない球があったけど、その確率を増やせれば十分だと思う」