清武英利前巨人GM(61)が25日の記者会見で配布した「6点の訴えたいこと」の全文。

 私が本日、皆さんに主に訴えたいことは6点です。

 まず、第1点は、今回の問題は株式会社読売巨人軍の適正手続きに従って決まっていたコーチ人事を、巨人軍の取締役会長である渡邉恒雄氏の鶴の一声で、違法、不当にも覆そうとしたことに端を発するということです。渡邉氏は日本の最大部数を誇る読売新聞のグループ本社取締役会長・主筆です。

 私は、渡邉氏の行為は巨人軍という組織に重大な混乱を招き、重大なコンプライアンス違反であるから、翻意するように何度もお願いしましたが、渡邉氏は「1、2年後には君を社長にする。すべてのことを受け入れて、専務取締役球団代表・オーナー代行として仕事を続けてくれ」などと拒まれました。

 11月11日の会見直前に渡邉氏から「会見をやめろ」との電話を受けましたが、最後は説得ではなく、「君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ」といった恫喝でありました。

 巨人軍オーナー(当時)兼代表取締役社長の桃井恒和氏自身も11月4日の渡邉氏の突然の翻意を聞き、「もうやっていられない。俺辞表を出すよ」とまで言って憤りをあらわにしていました。当初、鶴の一声に真っ向から反対したのは桃井元オーナー自身だったのです。私は桃井元オーナーの言葉を聞き、この渡邉氏の横暴は絶対に食い止めなければならないほどのコンプライアンス違反と判断し、記者会見の場で公然と渡邉氏に翻意を促したのです。

 コンプライアンス・内部統制は、株式会社にとって本質的に重要なものであり、裁判例もコンプライアンス・内部統制を維持することは、取締役の善管注意義務及び忠実義務の内容をなすものと判示しています。

 近年では、株式会社は、株主のものであると同時に、取引先や従業員、一般社会などの全てのステークホルダーのものであるという考え方が主流となってきています。

 読売巨人軍に即していえば、巨人軍は、株主である読売新聞グループ本社のものであると同時に、選手、コーチ、監督のものであり、また、読売巨人軍及びプロ野球のファンの皆様のものでもあるのではないでしょうか。

 そして、株主や従業員、取引先などのステークホルダーの信頼と期待を裏切らないために、コンプライアンス・内部統制の維持が強く求められ、代表取締役をはじめとする全ての役員及び従業員一人ひとりが、コンプライアンス・内部統制維持のために必要な行動をとることが要請されていると思います。

 私は、私の行動がプロ野球界や企業社会におけるコンプライアンスのあり方やGM制度のあり方など、生産的な議論につながることを心から願っています。私に対する解任は、何とか「お家騒動」「泥仕合」に持ち込み、そのゴタゴタの中で、違法・不当な処分を強行し、本質的な議論を抹殺しようとするものに他なりません。(原文のまま)