ソフトバンク杉内俊哉投手(24)が、年間を通して最も活躍した先発完投型投手に贈られる沢村賞を初受賞した。24日、都内で同賞選考委員会が開かれ、最多勝(18勝)、最優秀防御率(2・11)2冠の杉内に決まった。杉内は福岡ドーム内で会見し「選ばれたと聞いたときは興奮しました。今年取れなかったら、いつ取れるのだろうと思っていたし、本当に光栄」と満面の笑みを浮かべた。

 杉内は今季登板した全26試合で5イニング以上を投げるなど、シーズンを通して安定した投球をみせた。218奪三振は西武松坂に次いで2位。「歴史に名を残せて光栄だし、この賞に恥じないようにしたい。来年はもっと空振りを奪いたいし、この秋からチェンジアップを磨きたい」。21日に左手のひらの軟部腫瘤(しゅりゅう=ガングリオン)の切除手術を受けたばかり。秋季練習では本格的な投球は控えるが、早くもチェンジアップの精度を高め、さらなる飛躍を誓った。

 6日には待望の長男が誕生。「家族が一番喜んでくれていると思う。育児は大変だろうから手伝いたい」。沢村賞をパ・リーグの左腕投手が受賞するのも初。昨年6月に悔しさからベンチ内のイスを殴り両手小指を骨折した杉内が、故障を乗り越え、名実ともに球界を代表する左腕となった。【松井周治】

 ◆沢村賞とは

 不世出の大投手といわれる故沢村栄治氏(巨人)の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定された。選考基準は<1>15勝以上<2>奪三振150以上<3>10試合以上の完投<4>防御率2・50以下<5>投球回数200イニング以上<6>25試合以上の登板<7>勝率6割以上、の7項目。沢村賞受賞者、または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた者5人を中心とする選考委員会で決定する。当初はセ・リーグ投手を対象にしたが、89年から両リーグに広げられた。賞金300万円が贈られる。【2005年10月25日

 日刊スポーツ】