<コナミ日本シリーズ2013:楽天3-0巨人>◇第7戦◇3日◇Kスタ宮城

 楽天が球団創設9年目で初の日本一に輝いた。3勝3敗で迎えた最終決戦は、今シーズンを象徴する全員野球の白星だった。

 初回、相手の失策で先制点を奪うと2回には岡島が適時打。4回には牧田のソロ本塁打で突き放した。先発美馬学は6回1安打無失点の好投。2番手則本昂大も2イニング無失点でしのぎ、最後は前夜160球を投げきったエース田中将大が9回を締めて、完封リレーを完成させた。

 星野仙一監督(66)にとっても中日、阪神時代を通じ、指揮官として4度目の日本シリーズ出場で初の「日本一監督」の座をつかんだ。

 最優秀選手には、シリーズ2勝をマークした美馬が選ばれた。

 雨が降りしきるKスタ宮城に地響きのような「タナカ」コールがわき起こった。3点リードで迎えた9回、マウンドに向かったのは前夜160球の力投も実らず、無念の完投負けを喫したマー君だった。

 「昨日は情けないピッチングだったので、今日出番がもらえるならいつでも行くぞという気持ちで準備してました」。

 今季「鉄腕」と呼ばれた稲尾和久氏のシーズン20連勝超えなど数々の記録を塗り替えた“無敗男”に疲労の心配は無用だった。

 田中は、9回は2死一、三塁のピンチを招くも最後は代打矢野を空振り三振に仕留めた。

 田中は両手を突き上げガッツポーズ。胴上げ投手となった田中の元に選手が歓喜の輪を作った。田中は、ベンチからゆっくりマウンドに歩を進めてきた星野監督とガッチリ握手、熱いハグをかわした。指揮官の体をチームメートとともに仙台の夜空に向かって9度、持ち上げた。心地よかった。

 「このKスタで東北の皆さんの前で胴上げすることができて、本当にうれしかったです」。

 シーズン無敗を誇った田中は第6戦で土をつけられ、ポストシーズンを含めた連勝記録は30でストップした。試合後には、落ち込むことなく悔しさを糧にした。すぐさまツイッターで「次が大事」と前を向いた。この日は星野監督に志願してベンチに入り、リベンジの舞台を待っていた。

 「日本一になったぞ~」。弱小球団と呼ばれた低迷期を乗り越え、ついに頂点に立った。田中の甲高い声は、仙台ファンと選手の胸に響き渡った。