“嫌われ者”は俺に任せろ!

 広島木村昇吾内野手(27)が、相手チームから嫌われる存在を目指す。守備、走塁そして粘っこい打撃は既に実証済みだ。ポジション争いには同い年の梵、東出ら実績ある選手が待ち構える。横浜からトレード移籍の新加入ショーゴが、相手のリズムを乱す存在となることで、レギュラーの座をつかみ取る。

 小・中・高とエースで4番だったからこそ、試合の“流れ”を重視する。小山田とのトレードで岸本とともに、横浜から広島の地を踏んだ木村が今、静かに燃えている。俊足、好守で首脳陣から既に高い評価を受けているが、レギュラー奪取に向けてあえて「嫌われ者」宣言をした。

 内野なら、どこのポジションでもこなす万能型だが、定位置確保は簡単ではない。梵、東出ら実績のある同い年のライバルとの勝負が待っている。まずは相手チームから疎まれる存在になることが、レギュラーへの扉を開く鍵となる。

 打席では「簡単に終わらせない。同じアウトでも何球も粘ったり、内野ゴロでも難しいコースだったり」。塁上では「盗塁はもちろん、けん制球を投げさせたり」。守備では「難しい打球も難なくこなしたい」。あらゆる場面で相手のリズムを乱すつもりだ。

 西武とのオープン戦(2日)ではヒットエンドランを成功させるなど、打撃力も向上している。その理由として内田打撃統括コーチの存在を挙げた。「指導はもちろん、自分のような境界線上の選手もしっかりと見てくれている」。精神面でのバックアップも強調した。

 オフには家族で宮島を訪れるなど、広島の生活にも慣れてきている。公私ともに順調だが「移籍が成功だったかどうかは、シーズンが終わらないと分からない」という。もちろん成功させたい。勝負のシーズンが、もうすぐ幕を開ける。【佐藤貴洋】