<オープン戦:阪神2-10アスレチックス>◇23日◇東京ドーム

 08年の神様はオレだ!

 阪神のベテラン桧山進次郎外野手(38)が23日、アスレチックス戦で適時打を放った。この日は指名打者での先発だったが、これで開幕前の実戦で3本目の適時打と勝負強さ全開。大敗で開幕への不安がちょっぴりふくらんだメジャーとの対戦で、もっともファンをわかせるシーンを演出した。左の代打の切り札として信頼を高めて、プロ17年目の開幕に突入する。

 長いキャリアで培った勝負勘がささやいていた。「流れに乗って積極的にいけ」。データの蓄積がないメジャー投手に対しても、桧山のスイングは乱れなかった。5回2死。連打で一、三塁と攻め立てた場面で、2球目の高めカットボールをたたいた。きれいに左前に運ぶ安打で、1点をもぎ取った。

 「ストライクゾーンの中でもボールを動かしてくる。待たずに積極的に打ちに行こうと思った。前の2人の打者もうまく打っていたので、いいイメージで打席に入れた」。

 オープン戦期間では17日巨人戦、20日広島戦に続く3本目のタイムリー。この試合は9番指名打者での先発だったが、シーズンでの代打起用にもきっちり答えを出してくれそうな期待感を高めた。

 前日22日のレッドソックス戦でも8回に代打に出て、一ゴロに倒れていた。それでもアグレッシブな姿勢を忘れなかった。試合前練習ではア軍の打撃練習に目を懲らしていた。「右打者ならまず右方向から打ち返していく。練習にもリズムがあるようだね」。何かを吸収しようとどん欲だった。

 昨季は代打起用がチームトップの74度。当初は不慣れもあり、打率1割8分6厘は物足りなく映る。それでも2本塁打、12打点と印象に残る数字は残した。この日も敵地の東京ドームとは思えない大歓声に迎えられて打席に向かった。新「代打の神様」の襲名に、ファンの支持率は抜群だ。

 昨季中にバットを長くモデルチェンジしながら、グリップを余して握るスタイルに変更している。「10年以上、バットのタイプは変えていなかったんだけどね。バランスを考えてのこと。短く持っても鋭く振れば打球の勢いは変わらないから」。決して代打に合わせたわけではないが、年齢に負けないパフォーマンスを演じようと手を尽くしている。

 昨季は浜中、林、桜井、今季はフォード、葛城と右翼のポジションを後輩たちが奪い合う。その争いからも降りてはいないが桧山にはさらに求められる役割がある。試合を決める、ひと振り勝負。プロ17度目の開幕へ、ベテランがメジャー撃ちで仕上げた。【町田達彦】