<横浜3-1広島>◇27日◇横浜

 新人サン、いらっしゃ~い。なんてのはシャレにもならない…。広島が横浜ルーキー小林に7回1得点に抑えられ、1-3で敗れた。新人にプロ初勝利、新外国人に来日初勝利など、昨年から「初物」に弱い広島。小林も決して難攻不落ではなかったが打てなかった。1試合の平均得点が3にも満たない貧打は深刻。早く打開しなければ上位チームの背中がかすんでいくばかりだ。

 初対戦だったから…では言い訳にならない。試合後、選手やコーチから「いい当たりはあった」との談話が出たが、結果がすべて。本来、初対戦でたたくべき新人に、またも仁王立ちを許した事実は大きい。

 小林は中継ぎ登板はあったが先発は初めてだった。JR東日本からドラフト1巡目で入団した即戦力。とはいえ、栗原が言うように「球に力はあった」が、決して攻略できない投手ではなかった。「制球はアバウトな方だし、直球1本に絞りやすかったけど…」と4番は首をひねった。

 内田統括打撃コーチは苦虫をかみつぶしたような表情だ。「結局は相手を助けているということ。ボールの見極めができていない」とピシャリ。小早川打撃コーチも「小林はこれといって何がいいわけではない。手元でピュッときていたのかもしれないが」ともどかしそうだった。

 試合前のミーティング。初対戦の小林に対しての攻略法が説明された。「高めの甘い直球に狙いを定めて打つこと」。シュートやチェンジアップ、スライダーなど変化球は低めに集まる。速球が高めに浮きやすい投手であることは確認済みだった。しかし、高めは高めでもボール球に手を出したり、打ち損じたり。技術面の問題もあった。

 ブラウン監督の方針は徹底している。「打者に投手の特長や情報は与える。でもそれをどう生かすかは各自による」。就任以来ずっと同じ方針で戦ってきた。その成果はブラウン体制3年目の今季、どう生かされているのだろうか。

 実力派の新外国人はともかく、先発に限れば昨年は阪神小嶋、巨人金刃、ソフトバンク大隣の3新人に記念星をプレゼント。ヤクルトの高卒増渕には白星は献上しなかったがプロ初登板で7回1得点。今年もルーキー投手に対してプロの意地を見せられていない。

 指揮官は個々の能力や意地に期待をかけているようだ。「データ(不足)は関係ない。30年前の野球にはデータはなかった。試合になったら結局は各打者が打つか打たないか。もっと執念や粘りが必要だ」。

 ここまでの1試合平均得点は2・8。17得点した試合をのぞけば2・0。健闘している投手たちの我慢にも限界はある。【柏原誠】