<巨人0-6広島>◇1日◇東京ドーム

 カープに新星誕生だ。売り出し中の広島赤松真人外野手(25)が巨人戦(東京ドーム)で3戦連発し粉砕した。2試合連続先頭打者弾から、この日は4回の3打席目、1死二、三塁で巨人木佐貫から貴重な3号3ランを放った。阪神へFA移籍した新井の人的補償で加入した新戦力が、90年の石井浩郎以来となるプロ1、2、3号連発と大ブレーク。広島は巨人に連勝し4位に浮上した。

 3日とも同じ光景だった。赤松が息をはずませて帰ってきた三塁側ベンチで、ナインに顔や体のあちこちを触られた。まるで子供が大人に遊ばれている雰囲気だ。大ブレークした男は、笑いながら何度も首をひねった。4回の第3打席に3ラン。3試合連続の「初回先頭弾」こそ果たせなかったが、むしろアーチの価値はこの日が一番高かった。

 赤松

 自分でも信じられません。嫁に「どうしたん、何があったん」って言われますよ。前の打席で力んでいると言われていたので、犠飛でいいと思って楽な気持ちで打席に入れました。3試合連続は、もちろん、たまたまです。

 4月29、30日の巨人戦でプロ1、2号をプロ野球史上初の2試合連続先頭打者弾で飾った。3試合連続を期待されて迎えた1回の第1打席。左翼線にライナー性の二塁打を放った。本塁打を期待したカープファンからは歓声とため息が交錯したが、「打球が上がっていたらファウルになっていたでしょう。出塁できて良かった」と振り返った。

 試合前、喜田ら同僚から「狙っていけ」とあおられたが、平常心で1番打者の仕事を果たした。そして4回に4-0と突き放す3ランを左翼へ。木佐貫を事実上KOする1発になった。6回にも内野安打。あと三塁打でサイクル安打だったが、プロ4年目で初の3安打猛打賞をマークした。

 このオフ、阪神にFA移籍した新井の人的補償で広島に指名された。広島は左投手を優先する方針だったが、ことごとく阪神にプロテクト(指名不可能な28人)された。ただブラウン監督が当初から左腕と並行して希望していたのが赤松だった。1、2軍でのプレーを見て「広島を変えられる選手」とほれ込んでいた。

 ブラウン監督は「小技も使えて1発もある。守備も抜群。エキサイティングな選手だ」と絶賛した。球界屈指の俊足だが、飛球を打ち上げる悪癖を阪神時代から指摘されていた。現在は「強く上からたたく」意識が功を奏している。「名前も赤松だし、赤は大好きな色。赤には縁を感じる」と赤ヘルでチャンス到来。広島はここ2試合で計31安打で、打線をけん引する赤松がレギュラーを奪取する勢いだ。【柏原誠】