<ソフトバンク13-0オリックス>◇2日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク先発杉内俊哉投手(27)は8回3安打無失点で2勝目を挙げた。もがき苦しんだだけ、喜びもひとしおだった。ここ3戦3敗と白星から見放されていた杉内が、3月28日の西武戦(西武ドーム)以来、35日ぶりとなる今季2勝目を手にした。「本当に長かったですね。今日はかなり勝ちたいと思っていたので、本当によかったです」。8回3安打無失点。長いトンネルから抜け出した左腕は、今季初めて上がったお立ち台で満面の笑みを浮かべた。

 立ち上がりから飛ばした。先頭坂口から2回1死のローズまで、すべて空振り三振。5回まで毎回の9奪三振を奪う力投で、3番カブレラ、4番ローズには計4打席4三振と完全に封じ込んで見せた。「昨日(1日の西武戦)サヨナラ負けを喫していたので、とにかく今日は初めから飛ばしていきました。開き直って投げたのがよかったのかな」。その後も奪三振ペースは衰えず、今季自己最多となる12奪三振。今季通算奪三振も59個となり、リーグトップを走っていた日本ハムダルビッシュを抜き返した。

 王監督の一言が、杉内本来の投球スタイルを呼び起こした。今季は戦列を離れるエース斉藤の代役として、プロ7年目で初めて開幕投手を務めた。だが、登板6試合で1勝3敗。思うように結果を残せず、いつの間にか力任せの投球フォームになっていた。「王監督に力を抜いて投げろと言われた。だから今日は、最後(リリースポイント)だけ力を入れて投げた」。久々の白星へとつながった助言に、心から感謝した。

 今季初の完封も狙えたが、9回は竹岡にマウンドを譲った。「先はまだ長いから。無理に完投するところでもない」。まだ2勝3敗と黒星が先行するが、借金返済は時間の問題だ。【石田泰隆】