<ソフトバンク6-4オリックス>◇3日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの「3番最強打線」が機能し、6カードぶりのカード勝ち越しを決めた。初回に1番川崎から4連打で2点を奪い、3戦連続の初回攻撃に成功。3番松中、4番小久保に打線改造した27日のロッテ戦以降はチーム打率3割5厘、1試合平均6・7得点と攻撃力が格段にアップした。中でも松中は打率4割2分3厘、と3番打者ながら打線の中心的存在だ。2連勝で借金は2、と勝率は5割に満たないが、初回に得点した試合は勝率6割1分5厘を誇る。“先制パンチ”で借金完済だ。

 ソフトバンクの鮮やかな初回攻撃が、借金返済への道だった。1点を先制された直後、1番川崎、2番長谷川の連打で一、二塁のチャンスをつくった。3番松中が右前適時打を放ち同点にすると、4番小久保の右二塁打で一気に逆転。「1、2番のおかげ。2人が頑張ってくれるのでチャンスが増える」と松中。「3番最強打線」の効果を示す、3戦連続の初回得点だった。

 従来の4番松中を3番に改造した27日のロッテ戦以降、打線は見違えるように攻撃力がアップした。この6試合で40得点をマーク。改造前は1試合平均3・3得点が、倍以上の6・7得点にまで増えた。チーム打率も3割1分4厘を記録する。「こんなにすぐに効果が出るもんじゃないけどね」と王監督もその即効性には驚いた。その中心的存在は、チーム打撃3冠の3番打者、松中だった。

 この日で打率を3割1分9厘にまで上げたが、3番打者としては26打数11安打8打点、2本塁打で打率は実に4割2分3厘だ。「川崎の調子が上がってきて、長谷川もいいし、走者がいる状況でノブヒコ(松中)に回るのが大きいね」と秋山チーフコーチ。3番に打順を変更した際も「決して調子が悪いんじゃなく、むしろいい」と同コーチは力説した。状況に関係なく、3番打者は初回に確実に打席が回る。チームが初回に得点した試合は8勝5敗、勝率6割1分5厘。借金返済に苦しむソフトバンクには、初回攻撃で勢いをつかむことが大切だった。

 前夜は今季最多の13得点、最多タイの17安打を記録した。4番小久保は「大量点の次は往々にして点が入らないので初回が大事だと思った。ノブヒコが打ってくれて楽に打席に入れた」と自らの逆転打より3番松中の一打に価値を見いだした。2点リードで迎えた8回2死一、二塁。松中はカウント2-2からハーフスイングを三塁塁審に「空振り」と判定されると、打席から塁審の元へ駆け寄り、猛烈に抗議した。「(プロで)12年やってあそこまで走って行ったのは初めて。ミスは仕方ないけど、2点差で代打にカブレラ、ラロッカも残っていた。どんな展開になるか分からなかった」。戦況も踏まえての行動だった。

 チームは6カードぶりとなるカード勝ち越しを決めた。2連勝で借金は2。王監督はおどけながらも、言葉を引き締めた。「何カードぶりだ?

 何とか早く5割に持っていきたいというのはあるけどね。攻撃の形は整いつつある。これでどんどん乗って行きたいね」。バント失敗、けん制死などケアレスミスも出たが、5月反抗へ一筋の光が差し込んだことは確かだ。【中村泰三】