<ソフトバンク7-3オリックス>◇4日◇福岡ヤフードーム

 本拠地初のMK連弾で3連勝だ!

 ソフトバンクは5回に3番松中信彦内野手(34)の6号2ランで逆転し、刺激された4番小久保裕紀内野手(36)も6号ソロで続いた。この回4点で試合を決めた。2人の連続アーチは通算3度目で福岡ヤフードームでは初めて。松中は3試合連続猛打賞&打点と「どんたくシリーズ」の主役を張り、開幕カード以来の同一カード3連勝。ロッテと4位で並び、借金を1に減らした。

 振り抜いたバットを右手に持ったまま自軍ベンチを一見した。長谷川の適時打で1点差とした5回の第3打席だった。2球目、140キロの内角直球に松中は「思い切り」と迷いはなかった。「久しぶりに打った瞬間に(入る)というホームランでした」。右翼席に逆転2ランが着弾すると、ゆっくりとベースを踏み始めた。「つくづくホームランはいいな、と」。本塁では今季初めて左の人さし指を突き上げるパフォーマンスを解禁し、スタンドの興奮をさらに高めた。

 内角直球打ちの本塁打。松中が追求するテーマだけに「一番の収穫だった」と胸をなでた。初回に内野安打、4回も変化球に体勢を崩されながら右翼線へ二塁打を放っており、3戦連続の猛打賞で打率も3割3分1厘まで上昇させた。その理由を「練習のおかげ」と軽く流したが、3冠王なりの試行錯誤があった。

 9連戦中はやや前傾気味だった構えから背筋を立てたフォームへ修正。左目だけでなく両目でボールをつかまえる微妙な視角の変化で「内角の球がよく見える」と感触を手にしていた。オリックス3連戦前に「3本ずつ打って3割にしたい」と口にした目標を有言実行。低迷中は何度もアドバイスを送った王監督も「今は何も言ってません。彼が形をつかんで自分の世界に入りつつある」と認めるほど状態は上向きなのだ。

 松中が生んだ連続アーチだった。ここ7試合4番に座る小久保は目の前で完ぺきな1発を見せられ、「意識?

 おおあり。オレのはおまけや」。松中に誘発され、右中間に特大のソロ本塁打を運んだ。通算33度のアベック弾ながら連続弾は01年6月18日の日本ハム戦以来、3度目。本拠地では初めてだった。どんたくシリーズに華を添えた松中は「ドームで初?

 そう。12年もやっててね」と照れくさそうに笑った。

 序盤に負った3点のビハインド。主砲のひと振りで黒星は白星へと変わった。打線は12安打で7得点。松中の復調に呼応し、チームは今季初めて3試合連続の2ケタ安打をマークした。王監督の相好も崩れっぱなしだ。「松中は本当に見事だった。ああいうのが出ると気持ちも乗っていくよ。0―3からだし、今日の勝ちが(3連戦で)一番大きいよ」。開幕カード以来となる同一カード3連勝で、借金は1まで減少。「とにかく5割に戻るということでね。選手たちもその気でやってくれているよ」。その気になった松中は3試合で12打数9安打8打点、2本塁打と大いに働いた。借金を完済へ、5日からは杜(もり)の都でもうひと仕事だ。【押谷謙爾】