<西武8-6日本ハム>◇5日◇西武ドーム

 日本ハムが首位攻防第1ラウンドで、大どんでん返しを食らった。西武に最大6点リードしながら逆転負けで、痛恨の連敗を喫した。1点差まで詰め寄られた8回にセットアッパー武田久投手(29)を投入。勝ちパターンへと持ち込んだが、G・G・佐藤に勝ち越し2ランを献上するなど、今季ワーストの3失点と炎上した。15泊16日、11試合の長期遠征の初戦は、苦いスタートになった。

 力と力の豪快勝負で砕け散った。武田久がぼうぜんとマウンドで立ち尽くした。8回、同点とされ、なおも2死一塁。初球。気持ちを切り替え、真ん中高めへ投げ込んだ速球だった。見逃せばボール気味だが、G・G・佐藤がフルスイングで向かってくる。威力十分だったが、西武が誇るパワーヒッターに、バックスクリーン右まで押し込まれた。試合が一気に逆流する分岐点の痛恨被弾。直後にマウンドを降りると、ベンチの隅へと腰を下ろした。

 ショッキングな1敗だった。初回に相手失策も絡み3点を先取。5回には3連打など打線がつながり、さらに3点を追加した。先制、中押しと理想的な攻撃だった。「5回の3点で流れ的にはね…」。梨田監督は、最後は言葉をのみ込んだが、確信に近いほど勝利は手の中にあった。その直後の5回裏に、先発スウィーニーが細川に満塁弾を献上。流れが一変。6回以降は4残塁に1併殺の拙攻でリズムを崩し、悪夢のような結末が待っていた。

 鉄板リレーの「HAMの方程式」の1番手、武田久でも西武へ傾いたペースを取り戻せなかった。好調な現状を支える小さな鉄腕は、今季2敗目。気丈に「疲れ?

 別にないです。こんなんじゃダメ」と自分を責めた。パ・リーグ相手に6点差以上の逆転負けは04年8月の近鉄以来、4年ぶり。皮肉にも当時、会心の指揮を執っていた梨田監督は「今日のようなゲームはしてはいけない」と手綱を締めた。小旅行のような長期遠征初日、全員の足取りは重かった。【高山通史】