<巨人4-8阪神>◇6日◇東京ドーム

 同点に追いついた喜びも、あっという間に吹き飛んでしまった。4回表無死二、三塁から今岡の犠牲フライで勝ち越されると、鳥谷にもタイムリーを浴び、矢野も二塁打を打たれた。原監督はたまらず投手の交代を告げると、先発の高橋尚は、尾花投手コーチがマウンドに来る前にベンチに下がってしまった。投手のリーダー的存在でもある左腕が、後味の悪い結末で降板すると、リリーフした西村健が打たれ、小笠原もトンネル。この回だけで5失点。チームの勝率5割復帰は、またしても遠のいてしまった。

 勝たなければいけないプレッシャーが、投球を単調にした。4回までの阪神のクリーンアップに対し、内角への球は27球中わずか4球だけ。しかも、低めの内角球だけで、打者に踏み込ませないような球は1球もなかった。5日の試合では、技巧派左腕のヤクルトの先発石川を逆方向へ狙う打撃で攻略したが、同タイプの高橋尚も、同じような攻めで阪神打線に攻略されてしまった。

 ふがいない投球に、原監督は「見ての通りだな。もう少しやれるピッチャー。もうこの話はいいだろう」と怒りの表情を出さないように、質問を遮った。2点差に詰め寄った後も、7回表に藤田が2失点。4月26日の阪神戦以来、今季2度目の5割復帰を目指した試合だったが、またしても阪神に阻まれてしまった。

 最下位横浜には4勝0敗1分だが、首位の阪神には2勝5敗で、2位の中日にも2勝4敗。「弱きを助け、強きをくじく」のがヒーローのあるべき姿だが、今の巨人は正反対。「勝てば5割復帰?

 それぐらいおれだって知ってるよ」と原監督はムッとした。「弱きをくじき、強きを助ける」といった現状のチーム状態。原監督のイライラは募るばかりのようだ。【小島信行】