<中日1ー1広島>◇6日◇ナゴヤドーム

 開幕カードの再現になった。広島は延長12回の末、今季2度目の引き分け。先発ルイスが初回に1点を失うが2回以降立ち直り7回1失点。来日初登板で4回4失点でKOされた雪辱を果たした。そして特筆すべきは2番手横山から梅津まで救援6投手の踏ん張り。中日の拙攻にも助けられたが、0封リレーでドローに持ち込んだ。

 延長12回表、2死一塁からアレックスが三振に倒れると、左翼スタンドに陣取ったカープファンから大きなため息がもれた。「勝ちがなくなった」という思いに誰もがうなだれた。その裏、梅津のワンプレーが再び左翼スタンドに歓声を挙げさせた。

 この回から登板した梅津は1死から荒木に右前打。ウイニングランナーを出し、次打者井端のカウントが1-3に。四球なら一気にピンチが広がる。しかし、このピンチに一塁走者荒木をけん制で刺した。右翼席から悲鳴、左翼席から歓声が上がった。「100%走ってくると思っていた。けん制はキャンプから練習していたので、ああいう場で成果を出せてよかった。負けなくてよかった」。まさに起死回生のけん制だ。梅津は結局1イニングを無失点。きっちり役割を果たしドローに持ち込んだ。

 10安打で1得点。残塁はなんと13。ほめられる試合ではない。しかし、先発のルイス、林、永川、岸本ら救援陣。合計7投手が強竜打線を抑えこんだ。

 先発ルイスは来日初登板となった3月29日の開幕カード以来の中日戦。その時は4回4失点でKOされた。ボークも3回あった。しかし、この日は初回に1点を失ったが、2回以降は立ち直った。「ベストにはほど遠い調子だった」と話すが、スライダーを軸に中日打線に2点目を許さない。7回7安打1失点。前回の雪辱を十分に果たしたマウンドだった。

 ブラウン監督は「打線がどうこうというより、両チームの投手陣がいい働きをした」と総括。小林投手コーチも「こういう展開で個々の投手が持ち味を発揮したのは今後プラスに働く。負けなかったのは大きい」と評価した。

 拙攻が目立つ試合ではあったが、投手陣の踏ん張りが光った一戦だった。【網

 孝広】