<阪神5-1西武>◇25日◇甲子園
この男には気迫が似合う。リズム良く、思い切り腕を振った。今季初登板。上園は初心に戻った。初回。2死から不運な当たりを含む2安打に味方エラー、四球が絡む。いきなり満塁の大ピンチ。ここで6番中村に真っ向勝負を挑んだ。初球、真ん中低めに140キロ直球を決める。2球目も高めに139キロ直球を投げ込んだ。豪速球ではないが“気持ち”で詰まらせた、捕邪飛に仕留めた。
「投手コーチに『気持ちを前に出していけ』と言われた。気持ちです。1軍にしがみついて、じゃないけど一生懸命投げました」
これで乗ると2回は3者連続三振。ファンを沸かせると、以降は粘り強い投球に方向転換し、要所を締めた。6回こそ、1死二塁から5番G佐藤に先制の左翼線二塁打を許したが6回を投げきり1失点。リードを許して降板したが、先発として、十分に及第点の内容だった。
開幕ローテから福原、アッチソンが故障で戦線離脱。杉山は不調で2軍に降格した。先発陣に暗雲が立ちこめる中、「5番目の男」として思わぬチャンスが回ってきた。昨季は8勝をあげて新人王に輝いたが、2年目の今季は春先につまずき、開幕2軍スタート。ファーム8試合でも防御率は4・64と不安定だった。それでも岡田監督を始め、首脳陣は自分を選んでくれた。結果を出す必要があった。「使ってくれたことに応えたかった」。上園は安堵(あんど)の表情を浮かべた。
スタートは少し出遅れた。だが「2年目のジンクス」との対決はまだ始まったばかりだ。西宮市内の虎風荘。上園が暮らす部屋の壁には、1枚の切り抜き新聞が張られている。日付は「07年10月15日」。前日14日の中日とのクライマックスシリーズ第2戦を報じた記事だ。上園は先発し、1回5失点とKOされた。この悔しさを目に焼きつけ、今季、さらなる高みを目指している。
08年初勝利はならなかったが指揮官の信頼は取り戻した。「当然、次のローテに入る内容。去年も交流戦から良くなってきたし、これからがスタートやな」。岡田監督も高評価し、先発5番手にしっかりと名乗りを上げた。昨年は6月8日に初登板。そこから快進撃が始まった。今年はまだ5月下旬。活躍する時間は、たっぷり残っている。【佐井陽介】




