<中日3-7日本ハム>◇6日◇ナゴヤドーム

 405日ぶり1軍登板の中日佐藤充投手(30)が、逆転負けに沈んだ。4回まで無失点と粘ったが、2点リードの5回2死から3失点。あと1人で勝ち投手の権利を得る場面で打ち込まれ、わずか1試合で2軍降格の見込みとなった。中継ぎで好投を続けてきた斉藤も負傷退場するなど重苦しい敗戦で、日本ハムには3戦3敗となった。首位阪神が勝ち、ゲーム差は今季最大の「6・5」に開いた。

 降板を告げられた佐藤充は少しうつむくと、悔しそうにマウンドを降りた。「1年半ぶりで力むなと言う方が無理だとはわかっていたんですが…。せっかく使ってもらったのに申し訳ないのと、悔しい気持ちでいっぱい」。4回2/3で3失点の敗戦投手は言葉をしぼり出した。昨年4月28日横浜戦(横浜)以来405日ぶりの1軍マウンドは非情のKO降板だった。

 あと1アウトだった。2-0の5回、1死二、三塁のピンチ。ここで代打小田を三ゴロに打ち取った。2死一、三塁。だが、ここからが落とし穴だった。1番紺田に中前適時打を浴びて1点差とされると、2番高口にはフルカウントから低めのスライダーを2球ファウルで粘られ、最後は141キロの直球が高めに浮いて右中間突破の三塁打。2-3と逆転された。

 「久しぶりの1軍で抑えようという気持ちが先走ったんじゃないか」。2死を取った佐藤充の心境を森バッテリーチーフコーチはこう推し量った。勝利となれば06年8月13日にさかのぼる。じつに2年近く、白星から遠ざかっていた投手が平常心でいることは難しい状況だったのか。確かに5回は球が高めに浮いていた。森コーチは「明日(1軍に)いる必要はない」と2軍降格を示唆した。

 落合監督はさばさばと振り返った。この日、2軍から佐藤充を登録して即先発。2年目の田中をスタメンマスクに起用した。

 「きょうのバッテリーならいい目に出るか、悪い目に出るかどっちかだろう。だめなら下にいくだけ。簡単なこと。いい経験にすればいいじゃないか。まあ次、いつチャンスが来るかわからないが」。

 若いバッテリーに託したゲームはあと1歩のところで暗転した。今季日本ハムに3連敗。首位阪神とは今季最大の6・5ゲーム差に開いた。「昔から言うじゃないか。降り止まない雨はないって」。まだ56試合目。早くも虎のしっぽが見えなくなりそうな今、指揮官の言葉を信じるしかない。【鈴木忠平】