<横浜3-9日本ハム>◇8日◇横浜

 投打に奮闘し、鬼門を打ち破った。日本ハムの藤井秀悟投手(31)が5回3失点で、4月19日ソフトバンク戦以来、50日ぶりとなる2勝目を挙げた。2被弾を浴びるなど毎回の7安打を打たれる苦しい内容だったが、打線に助けられ、苦手の横浜スタジアムで7年ぶりの勝利を挙げた。球団の投手で交流戦初となるマルチ安打も記録と、打でも存在感を示した。チームは再び今季最多タイの貯金8に戻した。

 欲しかった勝利がようやく手に入った。勝利の瞬間、藤井はベンチから立ち上がり、仲間と次々に握手を交わした。「自分に(勝ち星が)つくことに越したことはないけど、試合をつくることが大事。でも白星はうれしい」。ホッとした表情で、1カ月半以上も遠ざかっていた今季2勝目をかみしめた。

 内容はピリッとしなかった。初回に内川に先制アーチを浴びた。5回まで毎回安打を打たれ、3者凡退は1度もなかった。2本塁打を打たれたが、要所を締め、何とか3失点で食い止めた。それだけに「大量得点で楽に投げやすかった」と打線の援護に感謝した。

 吉井投手コーチが「大量点の割には球数が増えてしまった。藤井君クラスなら7、8回は投げてもらわないと」と注文をつけたほど、堂々の投球ではなかった。それでも「ハマスタ」では01年8月25日以来、先発で10試合ぶりの勝利を挙げた。昨季までセ・リーグ在籍ながら、6年間も勝ち星のなかった鬼門を突破した。

 “副業”での久々もあった。2回に高いバウンドの三塁内野安打が適時打になるなど、05年9月以来自身3年ぶりの複数安打を記録。交流戦では球団の投手で初のマルチだった。今春のキャンプで青木と稲葉のセパ首位打者からバットをもらった“収集家”が結果を残した。

 勝ち星から遠ざかっていた時期でも、ダルビッシュ夫妻、タレントほしのあきとパーティーに参加。「世界は違うけどみんな頑張っているから刺激になる」と自分のペースは崩さなかった。次回は15日札幌ドームの古巣ヤクルト戦が有力。史上7人目の12球団勝利がかかるが「試合をつくることを続けていきたい」。快投ではなかったが、上昇気流に乗るきっかけにはなりそうだ。【村上秀明】