<阪神4-1オリックス>◇9日◇甲子園

 阪神がアラフォーコンビの活躍で今季3度目の5連勝を飾り、交流戦でも首位に並んだ。オリックス戦の4回、金本知憲外野手(40)が左翼線へ先制適時打を放ち、投げては先発下柳剛投手(40)が6回1失点の好投で6勝目を挙げた。40歳以上のコンビがV打と勝利投手をマークしたのは史上初になる。阪神はこの日発表されたオールスター戦ファン投票の第1回中間発表でも最多6人が上位にランクされ、まさに独走状態だ。

 豪快なアーチじゃない。代名詞の弾丸ライナーでもない。金本が泥臭く先制2点適時打を放った。

 4回無死二、三塁。絶好の先制チャンスでカウント2-0と追い込まれ、1点にこだわった。「最低でもファーストゴロ、セカンドゴロと思っていた」。オリックス近藤の143キロ外角直球を流し打った。打球は三塁線をゴロで破り、走者2人をかえした。「初回に先制点のチャンスでゲッツーを打ってしまった。(その際)下柳がすごい顔をしていたので、なんとか打てて良かったです」。

 続く5番葛城の右前打を浜中がはじくと迷わず三塁へ。岡田監督も「抜け目のない走塁」と目を細めた走塁を見せると、続く6番鳥谷が放った浅い左翼線への飛球でタッチアップし、3点目のホームを踏んだ。「ノー文句でGOだと思った」。今季8度目の猛打賞も記録。そして下柳、矢野と並んだお立ち台では「新井が隣より、よっぽど気持ちいいです」と爆笑を誘う最高の一撃を放った。

 下柳も勝負どころを心得た投球を見せた。安打を許しながら、序盤からしのぐ。6回、1点を失ってなおも1死一、三塁では北川の初球にシュートを投げて引っ掛けさせ、遊-二-一の併殺打に仕留めた。勝負の流れをたぐり寄せた。「(投球内容は)まあまあじゃないですか。打線の援護もありましたし、捕手のリードも良かった。もっと長いイニングを投げられないといけなかった」。責任を感じながら、6回1失点で降板。それでもJFKがつないで6勝目を挙げた。

 先月16日に40歳を迎えてから、白星から見放されていた。4度目の挑戦で、ようやく「不惑の白星」をもぎとった。お立ち台では「39歳のときと(感触は)同じですけど」とクールを装ったが、クラブハウスへ引き揚げる際には喜びをにじませた。「そういうことは続けていきたいね」。阪神では49年若林以来、59年ぶりの40歳代での勝利だ。左腕に限れば、チーム史上初の偉業だった。

 衰え知らずの鉄腕には、岡田監督も絶対的な信頼を寄せる。「(前の3試合も)勝ちがつかなかったけど本来の投球だった。あのゲッツーで、自分の役割を果たして、最少失点で抑えてくれた」。金本が打ち、下柳が抑えた。40歳以上の野手がV打をマークし、40歳以上の投手が白星を飾るのは史上初だった。チームは3度目の5連勝で貯金21。ついに交流戦首位タイに躍り出た。