25日に退任する阪神タイガース宮崎恒彰オーナー(65)が常勝軍団作りに「最後の3提案」を行った。岡田監督にはスカウト会議でドラフト補強策に積極介入するよう要望。来季6年目の長期政権へ、いわば大リーグのゼネラル・マネジャー(GM)的な役割を期待し、信頼の大きさを伺わせた。今オフのFA補強は封印、生え抜き台頭を望むなど、オーナー職2年間を振り返っての言葉は多岐にわたった。

 目先だけを追うな。中長期的な目を持ってチーム作りを進めろ。宮崎オーナーの思いはその一言に集約された。今後は球団相談役としてサポートに回るが、2年間のオーナー職でつかんだ揺るぎない信念が、3つの提案につながった。

 (1)「GM兼任案」

 「岡田監督はもっと戦力補強に注文をつけてくれていい。スカウト会議でも、どんな選手がほしい、こんなバッターがいい、とね。与えられた戦力で戦うというのが彼のスタンスだが、そればかりでも。日本では野球をやったことのないGMがチーム作りを進め、監督は采配だけを振るうというやり方はなかなか難しいから」

 阪神では異例の6年目への続投方針が固まった岡田監督へ、いわば「GM業」兼務の依頼だった。フロントには岡田監督がより発言しやすい環境、意思統一の強化を推し進めるよう求めた。

 (2)FA補強封印

 「FAについては現場の意見も聞くが、できれば自前の選手を育てる方向で進めてほしい。何でもかんでも足りないところをFAで引っ張ってくるというのは問題。去年は右バッターがいなくて(退団した)シーツの後を守れて3番を打てる打者が必要というニーズがあったが今年は違う」

 むろん、FAでの補強を否定しているのではなく、金本、新井によるFA効果は十分認識している。

 「彼らは自身のキャラクターとチームにとけ込もうという努力で何年も前からいたような雰囲気をもっている」。ただ何年も続ければいつか破たんする。今オフの目玉になる顔ぶれの調査情報を知った上で、現有戦力の底上げを望んだ。

 (3)五輪期間中に桜井、今岡復活を

 「五輪は若手の絶好のチャンス。桜井にしろ、そこでチャンスをつかむかどうかでオフの給料は決まる。新井、金本だけじゃなく、もう一山をプラスしてほしい。1番いいのは今岡が復活して5番に座り、桜井らが下位に回る形を作ること。そうすればダントツで優勝できる」

 スムーズに世代交代を進め、ファンからの支持を引き続き集めるためにも「生え抜き」の台頭を繰り返し強く望んだ。絶好の優勝チャンスをものにするだけでなく、岡田監督に与えた「注文」は同時に、その信頼の大きさを示すものでもあった。【片山善弘】