<西武9-5ロッテ>◇29日◇西武ドーム

 強い「野武士軍団」がよみがえった。西武が29日、前身の西鉄ライオンズ復刻版ユニホームを着用して2戦目で初勝利。3発を含む14安打9得点でロッテを圧倒した。強打者・中西太氏(75=日刊スポーツ評論家)と同じ背番号「6」を継承する後藤武敏内野手(28)が、バックスクリーン右に2発を打ち込んだ。28日に第1子の長男が誕生したばかり。先月他界した母あや子さん(享年57)にもささげるアーチだった。中村に17号3ランも飛び出し、往年の強力打線をほうふつとさせるようだった。

 数十年の時を経て、獅子が「野武士」のパワーを授かった。西鉄の復刻版ユニホームを着用した後藤は、怪童と呼ばれた西鉄中西と同じ背番号6で、ずんぐり体形もそっくり。「実力は足元にも及びませんが、背番号6の後藤を覚えて下さい」とアピール。バックスクリーン右に運んだ滞空時間の長い2発は、豪快な打撃でファンを魅了した本家顔負けのパワーだった。

 熱い思いが、打球をスタンドまで運んだ。お立ち台では「おやじと、先日亡くなった母ちゃんのために打ちたかった」と目頭をおさえた。1軍で活躍する姿を見てほしかった母あや子さんは、先月23日に57歳の若さで帰らぬ人となった。いつも励ましてくれた笑顔を思い出すと、熱く込み上げるものをこらえきれなくなったが、ポケットにしのばせた遺骨入りのお守りが、いつも心を落ち着かせてくれる。「母ちゃん、やったぞ!」。天国に届けとばかりに、大きな声を張り上げた。

 悲報から約1カ月後、新たな命が誕生した。「昨日(28日)子供が生まれました。元気な男の子です。子供のためにも、嫁のためにもパパは頑張るぞ、と言いたかった」とファンに報告した。試合前夜に誕生したわが子に「輪太郎(りんたろう)」と名付けた。「生まれ変わるという意味の『輪廻(りんね)』から名前をつけました。母ちゃんの分まで、愛情を込めて育てていきたい」。そう心に誓って迎えた第1打席で1号2ラン。5回には中村の3ランと2者連続となる2号ソロを放ち、節目の一戦で勝負強さを見せつけた。

 レッドソックス松坂大輔とは横浜高の同級生。新人の03年に11本塁打を放って以来、1軍での1発は5年ぶりになる。若手の成長著しい内野争いから脱落しかけたが、昨秋から外野にも挑戦して出場チャンスを広げた。交流戦明け3試合で11打数5安打。「力をもらった」という西鉄パワーや、最愛の家族の存在。不思議な力の後押しも感じながら、「ファームの帝王」だった後藤が生まれ変わろうとしている。【柴田猛夫】