<横浜5-4中日>◇13日◇横浜

 やってくれるはずだ。そんな期待に、横浜内川聖一外野手(26)が2度も応えた。1-4の6回1死二塁では、中日吉見から追撃の中越え適時二塁打。そして2-4の8回2死二塁、斉藤から左翼線に適時二塁打を放ち、直後の村田の逆転2ランにつなげた。「最後はシュート。いい具合に詰まってくれました」。カウント1-2から内寄りの球に、うまく体が回転した。初回の左前打とあわせ、今季19度目の猛打賞。リーグトップの打率を3割8分まで押し上げた。

 プロ8年目。本人も気付かないうちに、1つの目標を達成していた。11日の広島戦で、シーズン規定打席の446打席に到達していた。この日の試合前、「そうなんですか?

 知りませんでした」と言った。6月8日に規定打席に達し、3割9分9厘の高打率でいきなり首位打者に躍り出た。「まずは1度もやったことがないシーズンの規定打席です」と話してきたが、毎試合、毎打席、集中して臨むうちに大きな波もないまま、ここまで来た。

 調子の良さを現す“勲章”がある。今季は左手のひらある大きなマメが、すでに3、4度、破れてしまった。「振ったときにずれるからマメができる。本当はできない方がいい。ただ、去年はシーズン中に破れることはなかった。今年みたいに真剣に振ってなかったのかな」。ばんそうこうを3枚張り、テーピングしてから打撃練習するのが日課だ。

 この日の3安打で159安打。広島栗原を抜き、安打数でもリーグトップに立った。「狙えるものは、しっかり狙いたいですね」。99年のローズ(横浜)が記録した右打者の最高打率3割6分8厘5毛どころか、86年のバース(阪神)の最高打率3割8分9厘超えも夢ではない。すべてが未体験ゾーンだが、ターゲットをしっかり視野にとらえている。【古川真弥】