<巨人3-2ヤクルト>◇14日◇東京ドーム

 巨人がヤクルトに競り勝ち4連勝を飾り、首位阪神に4ゲーム差で逆転圏内にとらえた。2回、李承■内野手(32)がルーキー由規(18)から2号ソロ。1軍昇格初打席の初球で貴重な先制点をたたき出した。巨人は19日から本拠地東京ドームで阪神と注目の3連戦。4差は逆転可能な数字で自力優勝の可能性が復活。広島に敗れた阪神は優勝マジック消滅となった。

 もう1敗もできないチームの思いが、李のバットに伝わった。2回、先頭で打席に立つと、由規の初球を振り抜いた。真ん中低めのスライダー。ボールは弾丸ライナーで左中間席へ飛び込んだ。由規もマウンドからベースカバーに走ろうとするほどの低い弾道だった。

 この日、出場選手登録され、1軍に昇格してきたばかりだった。その最初の打席の初球で、勝利に導く結果を出した。「この10日間、ゲームに100%向き合うということに集中してやってきた」。戦力的にラミレス、グライシンガー、クルーンの3人は不可欠。残り1つの外国人枠にバーンサイドと交互に入る起用法がとらているため2軍調整となったが、この日を想定してやってきた。

 13日はテレビでヤクルト戦を観戦。同僚阿部の決勝弾で、さらに気持ちを高め合流した。今季、巨人では4番で開幕を迎え、北京五輪では韓国を世界一に導いた主砲が、外国人枠を争う立場だ。それでも李は「開幕から今まで結果を出していれば、こういうことはなかった。そういうところは自分の責任。適応しないといけない」。現状を受け止める強さがある。

 2月の春季キャンプに訪れた三星ライオンズ時代の恩師・白仁天氏から「今までで一番いい状態だ。今年は李に驚かされる年になるだろう」と太鼓判を押されていた。しかし手術した左手親指付け根の炎症や、五輪の韓国代表合流のためチームを離れるなど、思うような成績を残せないできた。「少ない残り試合で最大限、力を出し切りたい。最後に自分の存在を見せたい」と誓った。

 巨人は4連勝で70勝に到達し、貯金も今季最多の17。だが原監督は「たいした数字ではない。まだ上(阪神)がいるわけですから」と自然体だった。見据えているのはリーグ連覇だけだ。「チーム全体、球場、ファンと、非常にいい状態で前に進んでいる。いい形で東京ドームに戻って来て、阪神としっかり戦いたい」。

 首位阪神が敗れ、4ゲーム差。19日からは本拠地東京ドームで阪神と直接対決3連戦で逆転可能な差だ。その天王山を前に、15日からは横浜3連戦。虎の背中をとらえるためにも、最下位相手に取りこぼしはできない。【竹内智信】※■は火へんに華