141試合目の衝撃の首位陥落から一夜明けた9日、阪神坂井信也オーナー(60=電鉄本社社長)がチームとフロントに「再チャレンジ」指令を出した。残り3試合を3連勝して再逆転優勝の可能性を追いかけつつ、来季の打倒巨人を見据え、問題点を早急に検証することを明言。オーナー就任後初めてともいえる強い口調で今オフのFA、新外国人などの大補強を敢行する決意を示した。

 東京ドームで対巨人7連敗を見届けた。傷だらけの戦士を直視した。ただファンのためにも、あきらめないでほしい。早朝の新幹線で帰阪した坂井オーナーは、残り3戦全勝という最後の意地を期待した。

 「私も悶々(もんもん)とした気持ちで帰ってきた。でもまだ3試合ある。(今季を)総括してしまうにはまだ早いのでは、という気もする。何とか残りを全部勝ってほしい」

 オーナー自身も今季最終戦12日の中日戦(スカイマーク)を視察予定。ましてこの日、巨人が横浜に敗れ再逆転の可能性は膨らんだ。現場より先に「白旗」をあげるつもりはない。それでも落胆する阪神ファンの心情を察し頭を下げた。「大事な節目、節目で敗れてファンの皆さんには悔しい思いをさせた。そういう意味で本当に申し訳ないと思う」と謝罪した。

 予想だにしなかった141試合目にしての陥落。戦力補強のバックアップの面で「足りない部分はあった」と、フロントトップとしての責任を痛感する。

 「選手はよくやっているし本当にいいチーム。赤星が手を痛めながら打っている姿には涙が出た。ただあと1歩、勝ちきれない。シーズンを通して戦いきるにはしんどいところがあった。巨人の3、4、5番が機能しているのを見ると余計そう思う。先発が大事なところで粘りきれなかったというのも感じた」

 宿敵に及ばなかったクリーンアップの破壊力、先発の柱。大物新外国人、FA補強とも、必要とあらば出費は惜しまない。6月にオーナー就任後、初めてといえる今オフの積極補強を公言した。

 「FA補強が必要というなら考えればいい。外国人もきっちり仕事をできる人を何とかと思う。既存戦力の底上げもにらむが始めから(補強費など)制限がある話ではない」

 打倒巨人へ動く。「リベンジという言葉はあまり好きではない。現場だけの責任にするつもりはない。フロントと一緒になって足りなかった部分を考え、再チャレンジすればいい」。屈辱を屈辱のままでは終わらせない。