仙台市八木山動物公園が11月3日に「日米野球記念イベント」を開催する。1934年の秋、国内で日本と米国の代表チームによる日米野球が行われた。かつて八木山動物公園の位置にあった八木山野球場で、1試合が行われ「野球王」ベーブ・ルースが2本のホームランを放った。動物園は地元楽天の関係者を招き、日本プロ野球誕生の足掛けとなった伝説の戦いを回想するイベントを行う。

 まだプロ野球のなかった74年前の1934年。大リーグ選抜チームが来日し、東京6大学野球のメンバーを中心とする日本代表と、国内各地の球場で18試合の親善試合を行った。11月9日に行われた第4戦が、仙台市太白区八木山の標高約150メートルにあった八木山野球場で開催された。試合は米国が7-0で快勝。当時のスターだった39歳のルースは「来日第1号」を含む2本のアーチを、仙台の空に描いた。

 同球場は1929年、地元の富豪・八木家によってつくられ、両翼100メートルと当時の東北地方では最大の球場として開催地に選ばれた。その後、球場は県に寄付されたが、戦争の影響で使用は激減。やがて取り壊され、65年には同敷地に八木山動物公園が誕生した。

 日本代表には沢村栄治やスタルヒン、三原脩、水原茂などの名選手が含まれ、このメンバーを中心に、日米野球が行われた34年12月に、巨人の前身となる「大日本東京野球倶楽部」が誕生。2年後の36年に、プロ野球が誕生した。

 八木山動物公園は、東北におけるプロ野球の「原点」。02年にはルースの来日初ホームラン落下地点に同選手のブロンズ像が建てられた。

 11月3日、動物園は地元を本拠地とする楽天のチームアドバイザー、マーティ・キーナート氏(61)を招き、トークショーを行う。地元アナウンサーによる当時の試合の仮想実況中継も行われる予定だ。「オールドファンにも、若い方にも楽しんでもらえると思う」と遠藤源一郎園長。プロ野球の歴史に触れるチャンスだ。【由本裕貴】