東出、苦悩…。今オフのFA権行使を検討している広島東出輝裕内野手(28)が宣言するか、依然として結論を出していないことが3日、分かった。この日は広島市内で全労済のイベントに参加。揺れ動く心境を語った。遅くとも、日本シリーズが終了する10日にはFA申請するかどうか、最終的に決めることになる。野球人生を左右する決断になるため、熟考を重ねる。

 「カープ愛」と「立身出世」のはざまで、東出の心がシーソーのように揺れ動く。チームメートの森笠、梅津と並んだイベントでの壇上。慣れ親しんだ赤いユニホームを着込み、複雑な心境を隠しきれなかった。

 東出

 モリさん(森笠)と一緒にカープのユニホームを着るのは最後になるのかなあ…。最後かなと思うと、不思議な感覚だった。(FA宣言)するか、しないかでしょう…。宣言したら(広島に)帰ってこれないと、球団は思っている。

 苦笑いを浮かべながら、つぶやいた。広島への「決別宣言」ではない。野球人生を大きく左右する決断を迫られて、苦悩している。FA宣言して他球団で新たな挑戦をするのか。それともカープで優勝を目指すのか。日本シリーズ終了後の10日を区切りにしているが、早急に結論を出さず、周囲の意見も参考にしながら、最良の道を選ぶ考えだ。

 東出

 (広島を)出たい、出たくないは別にして、正直な話(他球団の話を)聞きたいでしょう。10年間コツコツやってきて、年齢的なことや将来性など、世間的にどういう評価なのか、すごく気になる。揺れ動かせてくれる言葉があるかもしれない。(社会で)裸一貫で勝負している人には『出ろ』と言われます。

 絶えず頂点を求めるアスリートの性分をごまかすことはできない。新天地で実力を試したい気持ちを否定しなかった。その一方で、球団とFAに関する交渉を行った10月28日には「残って喜んでくれる人はたくさんいるけど、出て喜ぶ人はあまりいない」とも話している。この日「気持ちはどちらに傾いているか」と問われると、苦笑いで言う。

 東出

 「宣言するのかな?」と思ってきた。流れに身を任せた方がいいかな。

 今季は打率3割1分をマークし、自己最高の成績を残した。東出の胸の内は東出だけが知る。チームに欠かせないリードオフマンの去就に注目が集まる。【酒井俊作】