今季2度目のフリーエージェント(FA)権を取得した日本ハム稲葉篤紀外野手(36)の来季残留が5日、決定した。札幌市内の球団事務所で初交渉を行い、権利を行使せずに2年契約で総額6億円プラス出来高(金額は推定)の条件提示を受けて合意、更改した。3年目は、球団に契約の選択権がある1年のオプション付き。会見では日本ハムで現役生活を終え、残り460本の2000本安打達成への決意を表明。来季以降は左翼、一塁などへの転向も視野に入れ、北海道を拠点にしての完全燃焼を誓った。

 両思いで、あっさりと決着した。稲葉が約40分間のスピード交渉で、去就にピリオドを打った。公の場での初交渉。球団提示は、2年総額6億円プラス出来高。慰留への強い誠意が表れていた数字に、あっさりとサインした。04年のFA宣言時にはメジャー移籍に挑んだが、オファーがなく挫折。その時、救いの手を差し伸べた日本ハムへの義理が、決め手の1つになった。

 稲葉

 前回のFAの時にこのチームに救ってもらった。何よりもファンの皆さんが僕の後ろに付いているので、裏切れない。

 駆け引きなしのやりとりが、円満フィニッシュへつながった。球団側は早くから残留希望を固め、10月から稲葉との話し合いを重ねてきた。稲葉の意向をリサーチ。残り460本に迫っている2000本安打の強いこだわりに配慮。年間150本前後の安打ペースなら、達成が不可能ではない3年目の契約延長、1年のオプションを付与。金額面でも今季年俸2億4000万円からのアップ提示ですんなりまとまった。

 プロ15年目を迎える来季。稲葉にも今後の大きな青写真ができた。「梨田監督を札幌ドームで胴上げするという夢を持ってやろうと思っている。生涯ファイターズをあらためて宣言してもいいかもしれません」。リーグV、日本一奪回に加え、現役生活を北海道でまっとうする覚悟を表明する、おとこ気を見せた。

 有言実行のための具体的なプランも披露。今季は右臀部(でんぶ)痛など故障に泣かされたが、その負担を減らすため来季は本職の右翼ではなく、ヤクルト時代の00年に1度先発しただけの左翼への挑戦も視野に入れた。「動けなくなったら一塁も考えないと。どう考えてもヨシオ(糸井)の守備の方がいいから」とチーム状況も加味した上で、検討している。

 梨田監督もこの日、「バックアップの動きとか右翼が一番大きい。DH、左翼をやらせるかも」と示唆。1年でも長く現役を続ける準備も、周囲を含めて進んでいる。「1年1年が勝負」。そう力強く結んだ稲葉が、ユニホームを脱ぐのは、まだ先になりそうだ。【高山通史】