<日本シリーズ:巨人2-3西武>◇第7戦◇9日◇東京ドーム

 鉄腕ぶりを発揮した西武岸孝之投手(23)が、日本シリーズMVPに選ばれた。シリーズ初登板の第4戦で147球を投げ完封。中2日でリリーフ登板した第6戦でも4回途中から最後まで投げ切り、91球でまたもや勝利投手となった。シリーズ2勝で文句なしのMVP。チームメートに胴上げされ「もう、うれしくて。それだけです。自分が軽いんで高く上げすぎです」と端正な顔をくしゃくしゃにした。

 西口にあこがれて西武への入団を決めた。体形や投球スタイルから「西口2世」と呼ばれることを誇りに思い、キャンプでは練習を目で追った。「西口さんを日本シリーズで投げさせたいという思いがあった。そのためにも頑張りました」。入団当時はスタミナを心配する声が多かった。だがわずか中2日で238球を投げた右腕に、そんな声はもうかからない。「チームの皆さんにひと回りもふた回りも大きくしてもらいました」。黄金時代を支えた西口のバトンを、岸は確かに受け取った。

 【大塚仁】