広島からFA宣言し、メジャー挑戦する高橋建投手(39)が1日、広島・廿日市市内の大野屋内総合練習場で、今オフ初めて大リーグ公式球でキャッチボールを行った。FA交渉解禁となった11月20日以降、すでに複数のメジャー球団からオファーを受けている。当面は静観する姿勢を示しており、プレーする球団も決まっていないが、まずは米国での挑戦に向けて始動。来季の大勝負に向けて、静かに動きだした。

 1球の重みを感じつつ、高橋建がスローイングを繰り返した。無人の屋内練習場で長谷川を相手にキャッチボール。メジャー挑戦を公言してから、初めて大リーグ公式球を投げた。10分間の軽い練習だったが、一世一代の勝負に向けて、大きな1歩を踏み出した。

 高橋建

 (感触は)普通です。若干、滑る気はします。縫い目もあらい気がする。大きさは変わらない。肩を若干動かすのも、悪いことじゃないですからね。

 秋季練習後は静養に努めていたが、いよいよ投球を解禁。それでも初の「試運転」では新球への相性を口にしなかった。縫い目の高さ、重量、感触…。メジャー球は日本の公式球と質感が異なり、日本人投手にとって「第1関門」になる。07年にはメジャー1年目のレッドソックス松坂も「滑りやすい」と話しており、米国製のロジンや土などを用いて対応した。高橋もまた、実戦的な練習に入った段階で、微妙なフィーリングをチェックする考えだ。

 高橋建

 試合の感覚で投げていないから(細かい感触は)分かりません。キャッチャーを座らせて、打者を立たせて、ボールがどうかですね。(プレーする球団が)決まれば、この球で投げれるんだという気持ちになるだろうけど。

 11月20日に交渉解禁になってから、すでにメジャーの複数球団から獲得オファーを受けている。それでも当面は「待ち」の姿勢を崩さない。この日も首を振りながら「まだ先でしょう」と話すにとどめた。オフに入ってからは、1年間戦った体のケアに努めている。

 高橋建

 (練習は)やりたいと思ったら、やるだろうし、休みたいと思ったら休めるだろうし。プランはあまり立てずに。今日も、歯医者があったので、そのついでに来たんです。いまはだらけている。決まってピリッとしたい気持ちもあるけど。FAしたら、そういうのも付き物ですから。

 いまは「自然体」で過ごし、英気を養う日々だ。いずれ激動のときが訪れる。「夢」への第1歩を穏やかに踏み出した。【酒井俊作】