サムライの技、盗みます!

 来年2月に宮崎総合運動公園で春季キャンプを張る巨人が、同じ施設内で同中旬からキャンプを行うWBC日本代表と、練習時間、場所をあえて合わせて行うことが分かった。原辰徳監督(50)の意向を受けてのプランで、イチロー、松井稼ら超一流打者の練習を間近で見て学ぶことが狙い。同じ場所で行うキャンプのメリットを最大限に生かし、技術向上を図る。

 「イチ流」から学ぶ。巨人とWBC、監督として二足のわらじを履く原監督ならではのアイデアだった。2月中旬にサムライジャンパンが宮崎に集結。巨人と同じ施設内でキャンプを行う。巨人にとっては練習スペース、時間など、一見ハンディとなるようにも感じる。だが指揮官は前向きにとらえていた。「(巨人とジャパンが)同じ場所で練習することを了承してくれ。実際に見て学ぶことが多いはずだから」と巨人、WBC両首脳陣に申し出た。

 キャンプの室内フリー打撃は、通常4カ所同時のマシン打撃で行う。マシンを巨人2、ジャパン2でシェア。同時に打撃練習を行うことが検討されている。原監督と同じく、巨人とサムライジャパンを兼任する緒方外野守備走塁コーチは「監督の意向です。練習時間や場所など、細かいことは(来年1月の)スタッフミーティングで決まる。でも大幅な変更はないと思う」と練習を“共有”するプランを明かした。

 イチロー、松井稼、岩村らメジャー組はもちろん、国内でも横浜村田、ヤクルト青木ら超一流打者が集い、バットを振る。独自の理論を持つ個性派集団が一堂に会する練習。巨人選手にとってはアップから始まる一挙手一投足を盗む、またとないチャンスだ。亀井、坂本、隠善、中井ら、伸び盛りの打者がヒントをつかみ、飛躍につなげる可能性は十分ある。見て盗むのは自由。原監督の粋な計らいに応えるのも、各自の自由だ。【宮下敬至】